A-D変換とは

A-D変換は、アナログ信号(連続的な値を持つ信号)を、デジタル信号(離散的な値を持つ信号)に変換する処理のことです。

A-D変換の概要と重要性

A-D変換(Analog-to-Digital Conversion)は、現実世界から得られる信号をコンピュータが処理できる形に変換するための、電子工学および情報科学における基本的なプロセスです。

現実世界に存在する信号、例えば音(マイク)、光(イメージセンサー)、温度(センサー)、電圧などは、時間とともに連続的に変化するアナログ信号です。

これに対し、コンピュータが扱うデータ、通信、処理は、ON/OFFの二進法に基づくデジタル信号で行われます。A-D変換は、この両者の世界を橋渡しする役割を果たします。この処理を行う電子回路を、A/Dコンバータ(ADC: Analog-to-Digital Converter)と呼びます。

主な目的は、物理現象を表現するアナログ信号を、デジタルシステムで保存、処理、伝送できる形式に変換することです。

A-D変換の3つの主要なステップ

A-D変換は、通常、以下の3つの主要なステップを経て行われます。

1. 標本化(Sampling)

  • 概要: 連続的な時間を持つアナログ信号を、一定の時間間隔で区切り、その瞬間の信号の値を採取するプロセスです。
  • 動作: 採取する時間間隔をサンプリング周期と呼び、その逆数をサンプリング周波数(または標本化周波数)と呼びます。サンプリング周波数が高いほど、元の信号の情報を正確に捉えることができます。
  • 理論: 標本化定理(サンプリング定理)によれば、元の信号に含まれる最高周波数の2倍以上のサンプリング周波数で標本化すれば、元の信号を完全に復元できるとされています。

2. 量子化(Quantization)

  • 概要: 標本化によって得られた連続的な振幅(電圧など)の値を、飛び飛びの(離散的な)値に区切るプロセスです。
  • 動作: 量子化の細かさは、量子化ビット数(分解能)によって決まります。例えば、8ビットであれば 28=256 段階、16ビットであれば 216=65,536 段階に区分されます。
  • 影響: 量子化の際に、実際の値と離散的な値との間に生じる誤差を量子化誤差と呼びます。ビット数が高いほど、この誤差は小さくなり、忠実な再現が可能になります。

3. 符号化(Coding)

  • 概要: 量子化によって得られた各離散値に、対応する二進数のデジタルコード(ビット列)を割り当てるプロセスです。
  • 動作: 例えば、16ビットで量子化された値は、16個の0または1の組み合わせのデジタルデータとして表現され、コンピュータ上で処理されます。

A-D変換の性能指標

A-D変換の品質を評価するために、以下の指標が重要となります。

  • サンプリング周波数: 変換できる信号の最大周波数を決定します(標本化定理に基づく)。
  • 分解能(ビット数): 信号の振幅をどれだけ細かく区別できるかを決定します。
  • 変換速度: 1秒間に何回の変換処理を行えるかを決定します。

A-D変換は、デジタルオーディオ、デジタルカメラ、医療機器、産業用制御システムなど、現代のあらゆるデジタル技術において基盤となる技術です。

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