AESとは

AESは、米国政府によって標準採用された、現代のデジタル社会において最も広く普及している共通鍵暗号方式のことです。

正式名称をAdvanced Encryption Standardと呼び、ベルギーの暗号学者によって設計されたRijndael(ラインダール)というアルゴリズムが基になっています。高い安全性と処理速度の速さを両立しており、無線LANのセキュリティ規格(WPA2/WPA3)やファイルの暗号化、SSL/TLS通信など、日常的なあらゆるシーンでデータの機密性を守るために不可欠な技術となっています。

AESの基本構造と特徴

AESは、データを一定の長さ(ブロック)ごとに区切って暗号化するブロック暗号に分類されます。以前の標準規格であったDES(Data Encryption Standard)と比較して、格段に高い強度を誇ります。

1. 共通鍵方式

AESは暗号化と復号に同じ鍵を使用する共通鍵暗号方式です。送信者と受信者が事前に鍵を安全に共有しておく必要があります。

2. 固定のブロック長と可変の鍵長

AESでは、処理するデータの最小単位であるブロック長は128ビットに固定されています。一方で、鍵の長さについては以下の3種類から選択することが可能です。

  • 128ビット(AES-128)
  • 192ビット(AES-192)
  • 256ビット(AES-256)

鍵の長さが長くなるほど暗号強度は高まりますが、比例して計算負荷も増大します。

アルゴリズムの仕組み

AESの暗号化プロセスは、SPN(Substitution-Permutation Network)構造に基づいています。データを複数の「ラウンド」と呼ばれる繰り返しの工程に通すことで、解読を極めて困難にします。

主要な4つのステップ

各ラウンドでは、主に以下の4つの操作が行われます。

  1. SubBytes(サブバイト):Sボックスと呼ばれる変換表を用いて、バイト単位でデータを別の値に置き換えます。
  2. ShiftRows(シフトロウ):データの行を一定の規則でずらし、データの位置を撹拌します。
  3. MixColumns(ミックスカラム):列単位で複雑な行列演算を行い、データの依存関係を分散させます。
  4. AddRoundKey(アドラウンドキー):そのラウンド専用の鍵データと排他的論理和(XOR)を取ります。

ラウンド数と鍵長の関係

鍵の長さに応じて、実行されるラウンドの回数が決定されます。

N_r = \frac{K}{32} + 6

(ここで

N_r

はラウンド数、K は鍵のビット数を示します) 具体的には、AES-128では10回、AES-192では12回、AES-256では14回のラウンドが実行されます。

安全性と信頼性

AESが世界標準として信頼されている理由は、その数学的な堅牢性にあります。

1. 攻撃に対する耐性

AESは、差分解読法や線形解読法といった既知の暗号解読攻撃に対して非常に強い耐性を持つよう設計されています。現在主流のコンピュータを用いた総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)であっても、AES-128以上の鍵を現実的な時間内で解読することは不可能であるとされています。

2. ハードウェアによる高速化

IntelやAMDのCPUには「AES-NI」という専用の命令セットが組み込まれていることが多く、ソフトウェアだけで処理する場合に比べて劇的に高速な暗号化・復号が可能です。この特性が、大容量データのリアルタイムな暗号化を可能にしています。

運用上の留意点:利用モード

AESを実際に使用する際は、ブロック暗号の利用モード(Mode of Operation)の選択が重要です。単にブロックごとに暗号化するだけ(ECBモード)では、同じデータから同じ暗号文が生成されるためパターンを推測される恐れがあります。そのため、前のブロックの暗号文を次のブロックに利用するCBCモードや、高速かつ改ざん検知も可能なGCMモードといった、より高度な利用モードを組み合わせて運用するのが一般的です。

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