IDMとは

IDMは、組織内におけるユーザーの識別情報(アイデンティティ)を、ライフサイクル全般にわたって適切かつ安全に管理する仕組みのことです。

正式名称をIdentity Management(アイデンティティ管理)と呼び、ユーザーの作成、変更、削除といった一連のプロセスを統合的に制御します。現代の複雑化したIT環境において、誰が、どのシステムに対して、どのような権限でアクセスできるかを一元管理することは、セキュリティの強化と運用の効率化の両面で極めて重要な役割を果たしています。

IDMの主な機能とライフサイクル

IDMは、単なるユーザーリストの管理に留まらず、アイデンティティの発生から消滅までを包括的に扱います。

1. プロビジョニング(入社・異動時)

新しいユーザーが組織に加わった際、必要なシステムやアプリケーションに対してアカウントを自動的または半自動的に作成し、適切な権限を割り当てるプロセスです。

2. メンテナンス(変更時)

部署異動や昇進に伴う役職の変更、あるいは氏名の変更などが発生した際に、関連するすべてのシステムの属性情報を同期・更新します。

3. デプロビジョニング(退職・契約終了時)

退職や契約終了と同時に、速やかにすべてのアカウントを無効化、または削除します。これにより、不要なアカウント(幽霊アカウント)が悪用されるリスクを最小限に抑えます。

IDM導入のメリット

組織がIDMを導入することで得られる効果は、多岐にわたります。

  • セキュリティの向上:一元的な管理により、権限の過剰付与や削除漏れを防止し、内部不正や外部攻撃のリスクを低減します。
  • 運用コストの削減:各システムで個別に行っていたアカウント管理作業を自動化することで、IT部門の工数を大幅に削減できます。
  • コンプライアンスの強化:誰がいつどのような権限を付与されたかというログを保持できるため、監査対応が容易になります。
  • ユーザーの利便性向上:シングルサインオン(SSO)と連携させることで、ユーザーは一度の認証で複数のシステムを利用可能になります。

技術的アプローチと連携プロトコル

IDMシステムは、ターゲットとなる各システムと通信を行うために、さまざまな標準プロトコルを利用します。

1. ディレクトリサービスとの連携

LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)やActive Directoryなどをマスターデータとして利用し、情報を同期させることが一般的です。

2. クラウド連携プロトコル

SaaSをはじめとするクラウドサービスとの連携には、SCIM(System for Cross-domain Identity Management)などのプロトコルが用いられます。これにより、異なるドメイン間でのアイデンティティ情報の交換を自動化できます。

IDMの効率性と評価指標

IDMの導入効果を定量的に評価する際、手動管理と比較した際のリスク低減率や、アカウント作成に要する時間(リードタイム)が指標となります。

アカウント作成の平均リードタイムを

T_{avg}

、対象となるシステム数を

n

、1システムあたりの手動操作時間を

t_{manual}

とすると、手動管理における総時間

T_{total}

は以下の式で表されます。

T_{total} = \sum_{i=1}^{n} t_{manual, i}

IDMによる自動化を導入した場合、この

T_{total}

の大部分を削減することが可能となり、組織の規模(n)が大きくなるほど、その導入効果は飛躍的に高まります。

現代における重要性:IAMへの発展

近年では、IDMに「認可(Authorization)」や「アクセスコントロール」の概念をより強く結びつけたIAM(Identity and Access Management)という概念が主流となっています。また、境界型セキュリティからゼロトラストセキュリティモデルへの移行に伴い、アイデンティティは「新しい境界」と位置づけられており、IDMはその根幹を支える極めて重要な基盤技術となっています。

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