リファクタリングで真のシステム価値を最大化
システムのリファクタリングは、多くの企業が検討するものの、具体的な手順や影響範囲の洗い出しが難しく、導入に二の足を踏む場合が多くあります。しかし、適切なリファクタリングを実施することで、システムのメンテナンス性、拡張性、パフォーマンスなどが飛躍的に向上します。本稿では、当社のリファクタリングに関する豊富な実績とノウハウを踏まえ、その重要性と効果的なアプローチについてご紹介します。
リファクタリングの本質的なメリット
1.メンテナンス性の大幅な向上
コードの重複を排除し、モジュール化を進めることで、システムの保守性が格段に向上します。障害の原因特定が容易になり、部分的な変更に伴う影響範囲が限定されるため、システムの柔軟性が高まります。
以下にPythonコードのコード重複をリファクタリングした例をご紹介します。
# 従業員の給与を計算する関数
def calculate_salary_for_engineer(base_salary, years_of_experience):
if years_of_experience < 5:
bonus = 0.1 * base_salary
else:
bonus = 0.2 * base_salary
total_salary = base_salary + bonus
return total_salary
# 従業員の給与を計算する関数 (マネージャー向け)
def calculate_salary_for_manager(base_salary, years_of_experience, team_size):
if years_of_experience < 5:
bonus = 0.1 * base_salary
else:
bonus = 0.2 * base_salary
team_bonus = 0.05 * base_salary * team_size
total_salary = base_salary + bonus + team_bonus
return total_salary
この初期のコードでは、calculate_salary_for_engineerとcalculate_salary_for_managerの2つの関数が存在しますが、両者でyears_of_experienceに基づくbonusの計算ロジックが重複しています。このようなコードの重複は、メンテナンス性を下げ、修正時に複数の箇所を変更する必要があるため、エラーが発生しやすくなります。
リファクタリングした後のコード
# 従業員のボーナスを計算する関数
def calculate_bonus(base_salary, years_of_experience):
if years_of_experience < 5:
return 0.1 * base_salary
else:
return 0.2 * base_salary
# 従業員の給与を計算する関数
def calculate_salary(base_salary, years_of_experience, team_size=0):
bonus = calculate_bonus(base_salary, years_of_experience)
team_bonus = 0.05 * base_salary * team_size
total_salary = base_salary + bonus + team_bonus
return total_salary
calculate_bonus関数を新たに作成し、years_of_experienceに基づくボーナス計算ロジックをこの関数に移しました。これにより、ボーナス計算ロジックが1箇所に集約されました。その他、calculate_salary関数では、従業員の基本給与、経験年数、チームサイズを引数に取り、calculate_bonus関数を呼び出してボーナスを計算しています。エンジニアの場合はチームサイズを0とすることで、team_bonusが0となります。
上記の例はあくまでも一例ではありますが、このようにリファクタリングすることでコードの重複が排除され、メンテナンス性を大幅に向上させることができ、今後の機能追加やアップデートなどサービスを成長させていく上で欠かすことができない継続的な開発を効率よく短い時間で実施することができるようになります。
2.拡張性の飛躍的な改善
リファクタリングでは、標準的な設計パターンやベストプラクティスに従ってコードを整理・改善します。その過程で、モジュール化が進み、柔軟でメンテナンス性の高いアーキテクチャが構築されます。
結果として、新しい機能や要件への対応がスムーズになり、システムの拡張性が大幅に向上するのです。また、パフォーマンスやセキュリティ対策の実装も用意になり、システム基盤全体の再構築を伴わずに段階的な改善が可能になります。
リファクタリングのメリット
- 新機能追加の容易化 リファクタリング後のコードは、疎結合で柔軟性の高い設計となっています。そのため、新しい機能を追加する際、既存の機能への影響が最小限に抑えられます。変更に伴うリスクが低減し、安全に機能拡張ができます。
- 技術的負債の解消 長年の開発を経て蓄積した技術的負債をリファクタリングで解消できます。記述が冗長だったり、古い手法が使われていたりする箇所を、最新のベストプラクティスに沿って書き換えられます。その結果、保守性が高まり、今後の機能追加がしやすくなります。
- 新技術の容易な統合 フレームワークやライブラリ、言語の進化に合わせてリファクタリングを行うことで、新しい技術を比較的容易に統合できるようになります。例えば、Webアプリにリアクティブプログラミングを取り入れる場合など、保守性の高いコードベースがあれば、スムーズな技術移行が可能です。
- マイクロサービスアーキテクチャへの移行 マイクロサービスへの移行が必要な場合、事前にリファクタリングを行うことで、コンポーネントの切り分けが容易になります。疎結合でモジュール化されたコードは、個別のサービス単位に分割しやすくなります。
- クラウドネイティブ開発への対応 クラウドネイティブなアプリケーション開発に対応するには、コンテナ化やサーバーレスアーキテクチャなどの新しいアプローチが求められます。リファクタリングで柔軟性が高まれば、こうした新しい技術の導入も容易になります。
3.システムの長期化による価値の最大化
継続的なリファクタリングにより、常にシステムを最新の技術レベルに保つことができます。また、脆弱なコーディングによるリスク顕在化を防ぎ、安全性とセキュリティを確保できます。このようにシステムのライフサイクルを長期化させ、投資対効果を最大化できます。
APPSWINGBYのリファクタリングの強み
1.豊富な実績とノウハウ
当社では、さまざまな業種、規模の企業を顧客に持ち、Android/iOSアプリからWebシステム、業務システムのリファクタリングを手掛けてきました。その過程で蓄積したノウハウを基に、お客様のシステムや要件に合わせた最適なリファクタリングをご提案しています。
2.高度な技術力と経験知
最先端の技術動向を熟知した経験豊富なエンジニアが在籍し、あらゆる種類のリファクタリングに対応可能です。レガシーシステムの技術移設からモダナイゼーションまで、提案からコーディングまでワンストップで行えるのが強みです。
3.確固たるプロセスの確立
リファクタリングプロセスに沿ってコストや影響範囲をしっかりと見積もり、目的達成に向けた体制をご提案可能です。必要に応じてアジャイルアプローチや保守体制も取り入れており、お客様との緊密な連携を保ちながら確実に進捗できます。
4.信頼できるパートナー企業のネットワーク
単独では手に負えない大規模なリファクタリングの場合でも、外部のSIerパートナーと連携して対応できます。パートナー企業とは長年の信頼関係があり、お客様のビジネスニーズに合わせた最適なチームを編成できます。
システムのライフサイクルを通して定期的にリファクタリングを実施し、常に最新の技術レベルを保つことが重要です。APPSWINGBYでは、豊富な経験と確かな技術力で、お客様のシステムを最適な状態に導き、真の価値を最大化できます。ぜひお客様の抱えるお悩みを気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数
監修
株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。