ガートナー社が公開した「人工知能(AI)ハイプサイクル」 

2025「人工知能(AI)ハイプサイクル」

2025 年8月5日にハイプサイクルで世界的に有名なガートナー社が、「Gartner Hype Cycle Identifies Top AI Innovations in 2025:人工知能(AI)ハイプサイクル ※外部リンク」を公開しました。

公開された「人工知能(AI)ハイプサイクル」をよく見てみると、日本ではあまり耳にしたことがないようなワードがいくつか記載されていましたので、今回は、その中から気になったワードをいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

では、さっそくはじめていきましょう!

ガートナー社のハイプサイクルとは?

念の為、ハイプサイクルについて解説をしておきます。既にハイプサイクルについてご存じの方はこのセクションはスキップしてください。

ガートナー社のハイプサイクル

ガートナー社のハイプサイクルは、新しいテクノロジーが市場に登場してから普及し、成熟するまでの過程を視覚的に示したものです。

縦軸に「市場からの期待度」、横軸に「時間の経過」をとったグラフで、技術の動向を5つのフェーズに分けて解説します。企業はこれを利用して、新しい技術を導入するタイミングやリスクを判断できます。

ハイプサイクルの5つのフェーズ

  1. 黎明期(Innovation Trigger) 新しい技術が誕生し、初期のブレークスルーや実証実験(PoC)によって世間の注目が集まる時期です。まだ実用化はされておらず、期待は先行します。
  2. 「過度な期待」のピーク期(Peak of Inflated Expectations) 技術がメディアや世間で大きく取り上げられ、非現実的なほどの高い期待が寄せられる時期です。成功事例が報告される一方で、多くの失敗も生まれます。
  3. 幻滅期(Trough of Disillusionment) 過度な期待が実現できず、技術の欠点や課題が明らかになることで、関心が急速に冷めていく時期です。メディアの注目も減り、投資も減少します。
  4. 啓発期(Slope of Enlightenment) 幻滅期を乗り越え、技術の真の価値や適用範囲が理解され始める時期です。実用的な活用方法が確立され、より現実的な期待へとシフトしていきます。
  5. 生産性の安定期(Plateau of Productivity) 技術が広く普及し、主流として定着する時期です。技術の成熟度が高まり、その価値が明確に確立され、安定した成長が見込めるようになります。

ハイプサイクルの意味をグラフにすると以下のような感じになります。

「人工知能(AI)ハイプサイクル」に並んだワード

それではここからが本題なのですが、今回公開された「人工知能(AI)ハイプサイクル」の中で、Innovation Trigger(黎明期)に並んでいたワードの中から気になったワードをご紹介していきます。

Engineering AI:エンジニアリングAI

Engineering AIとは、AIをソフトウェア開発やシステム開発、製造業における設計・解析といったエンジニアリング業務全般に応用し、効率化や品質向上を図る取り組みを指します。 これは単にAIを搭載した製品を作るだけでなく、エンジニア自身の業務をAIが支援するという考え方です。

Engineering AIは、ソフトウェア開発から製造業の設計プロセスまで、幅広い分野で活用されていますが、ここではソフトウェア開発についてご紹介します。

ソフトウエア開発におけるEngineering AI

ソフトウエア開発におけるEngineering AIの具体例を以下にリストしておきます。

コード生成: 開発者が求める機能やロジックを自然言語で指示すると、AIがコードを自動生成する。GitHub Copilotなどがその代表例です。

デバッグ・テスト: AIがプログラムのバグを検出し、修正案を提示したり、テストコードを自動で作成したりします。

ドキュメント作成: 設計書や仕様書などの文書をAIが自動で作成・要約し、エンジニアの負担を軽減します。

コード生成からデバッグ、テスト、デプロイメントといったタスクが含まれ、ソフトウェア開発ライフサイクル全体をより効率的かつ効果的にすることが目標となります。

AI Native Software Engineering:AIネイティブソフトウェアエンジニアリング

AIネイティブソフトウェアエンジニアリングとは、AIを単なるツールとして利用するのではなく、ソフトウェア開発プロセス全体の中核に据えるという、新しい開発パラダイムです。

これは「AIを搭載したソフトウェアを開発する」こととは異なり、「AIが開発を主導する」という考え方に基づいています。

従来との違い

GitHub Copilotのようなツールが代表的で、人間が主導する開発作業をAIが補助します。コード補完、バグの検出、単純なコード生成など、あくまで人間の生産性を高めるためのアシスタントとしての役割です。これが従来のAI支援型開発 (AI-Assisted Development)と呼ばれるものです。

一方で、AIネイティブソフトウェアエンジニアリング (AI-Native Software Engineering)は、AIが開発の初期段階から深く関与し、要件定義、設計、コード生成、テスト、デプロイ、保守まで、開発ライフサイクル全体を自律的、または半自律的に実行します。

人間は、AIが生成した成果物のレビューや、より高度な戦略的判断、クリエイティブな課題解決に集中します。

既存のアプリケーションに単にAIを追加するのではなく、AIを根本から活用するように設計されたソフトウェアシステムの構築に重点を置いているのが特徴として挙げられています。

今後は、データ駆動型で適応性が高く、継続的に学習するように構築されていくと予想されています。

具体的な特徴と期待される効果

  1. インテント優先開発 (Intent-First Development):  従来の「コード優先」のアプローチとは異なり、開発者はAIに対して「意図(インテント)」を自然言語や簡易的な疑似コードで伝えます。AIはこれを解釈し、要件に沿ったコードや設計案を自動で生成します。これにより、人間の開発者は抽象的なアイデアの具現化に集中できます。
  2. 自律的な開発サイクル:  AIは、生成したコードを自動でテストし、バグを修正し、継続的に改善する能力を持つようになります。このプロセスは自動化されるため、開発サイクルが劇的に短縮され、市場投入までのスピードが向上します。
  3. 知識駆動型基盤モデルの活用:  開発に特化した大規模言語モデル(LLM)や、過去の膨大な開発データ、ドキュメント、オープンソースライブラリの知識を活用することで、AIは高品質で効率的なコードを生成します。これにより、人間の認知負荷が軽減され、より高品質なソフトウェア開発が可能になります。

AIネイティブソフトウェアエンジニアリングは、ソフトウェア開発のあり方を根本から変革し、人間のエンジニアリングをより創造的で戦略的なものへとシフトさせる可能性を秘めています。

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株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

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情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
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動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
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