クラウドレジリエンスとは?障害に強いシステムをつくる
クラウド障害によって引き起こされてしまうビジネス損失を最小限に抑える為の手法として注目が集まっている「クラウドレジリエンス」についてご紹介します。
1. クラウドレジリエンスとは?
クラウドレジリエンスとは、クラウド環境における様々なリスクや障害に対して、システムが耐え、迅速に回復する能力のことです。クラウド環境でビジネスを継続するための強靭さと言い換えることができます。
クラウドコンピューティングの普及に伴い、多くの企業がビジネスの基幹システムをクラウドに移行しています。しかし、当然のことではありますが、、クラウド環境は万能ではありません。
障害や災害、サイバー攻撃など、様々なリスクが存在します。そこで重要となるのが「クラウドレジリエンス」になります。
なぜクラウドレジリエンスが必要なのか?
なぜ今、クラウドレジリエンスが注目されているのでしょうか? 最近では自社のコンピュータールーム、つまり従来のオンプレミス環境やデータセンターのラックを契約してシステムを構築する企業はめっきり少なくなり、多くの企業がクラウドサービスを利用したシステム構築を行っています。
これまではなんとなく万能と思われてきたクラウドサービスですが、企業が年単位で利用を続けることでこれまで見えてこなかったリスク要因に注目されるようになってきました。
クラウドサービスのリスク要因とは?
どのクラウドサービスも共通していることですが、クラウド環境では、以下のような様々なリスク要因が存在します。
- クラウドサービスの障害: クラウドプロバイダー側のシステム障害や、ネットワークの不具合など
- 自然災害: 地震、洪水、台風などによるデータセンターの被災
- サイバー攻撃: ランサムウェアやDDoS攻撃など、悪意のある攻撃
- ヒューマンエラー: 設定ミスや操作ミスによるシステム停止
- 人為的な災害:戦争やテロ
これらのリスク要因により、システムが停止してしまうと、ビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
ビジネスへの影響:ダウンタイムによる損失とは?
システムのダウンタイムは、以下のような様々な損失につながります。
- 収益の損失: サービス停止による売上減少、取引機会の喪失
- 顧客の信頼喪失: サービス停止による顧客離れ、ブランドイメージの低下
- 復旧コストの発生: システム復旧のための費用、データ復旧のための費用 法令違反: 個人情報漏洩などによる罰金、訴訟リスク
ダウンタイムによる損失は、企業の規模や業種、システムの重要度によって異なりますが、近年では、1時間のダウンタイムで数億円規模の損失が発生するケースも珍しくありません。
信頼性と可用性の向上
クラウドレジリエンスを高めることで、システムの信頼性と可用性を向上させることができます。
- 信頼性: システムが安定して稼働し続ける能力
- 可用性: システムが利用可能な状態である時間の割合
信頼性と可用性の高いシステムは、顧客に安定したサービスを提供し、ビジネスの継続性を確保するために不可欠です。
2.クラウドレジリエンスを脅かすリスク要因
クラウドレジリエンスを構築する上で、まず理解しておくべきことは、どのようなリスク要因が存在するのかということです。
クラウド環境は、従来のオンプレミス環境とは異なるリスクに直面します。それぞれのリスク要因を深く理解し、適切な対策を講じることで、真にレジリエントなシステムを実現できます。
クラウドサービスの障害
クラウドプロバイダーのデータセンターやネットワーク設備で発生する障害です。
- 具体的な例
- ハードウェアの故障:サーバー、ストレージ、ネットワーク機器などの物理的な故障
- ソフトウェアのバグ:OS、ミドルウェア、クラウドサービスのソフトウェアのバグ
- 設定ミス:クラウドサービスの設定ミスによる誤動作やサービス停止
- キャパシティ不足:急激なアクセス増加によるリソース不足
- サービス停止:クラウドプロバイダーによる計画的なメンテナンスや、予期せぬサービス停止
上記に挙げた障害に対しては、クラウドプロバイダーのSLA(Service Level Agreement)を理解し、障害発生時の対応について事前に確認しておくことが重要になります。 特定のリージョンやアベイラビリティーゾーンに依存せず、マルチリージョン構成を採用することで、障害の影響範囲を最小限に抑えることができます。 クラウドプロバイダーの提供する監視サービスやログ分析ツールを活用し、障害の早期発見と迅速な対応に努めましょう。
自然災害
地震、洪水、台風などの自然災害は、データセンターの物理的な損傷を引き起こし、クラウドサービスの停止につながる可能性があります。
- 具体的な例
- 地震によるデータセンターの倒壊や設備の損傷
- 洪水によるデータセンターの浸水
- 台風による停電や通信回線の断絶
サイバー攻撃
ランサムウェア、DDoS攻撃、不正アクセスなど、クラウド環境は常にサイバー攻撃の脅威にさらされています。
- 具体的な例
- ランサムウェアによるデータの暗号化と身代金要求
- DDoS攻撃によるサービスの妨害
- 不正アクセスによるデータ漏洩
適切なセキュリティ対策を講じることは、クラウドレジリエンスの重要な要素です。 アクセス制御、暗号化、多要素認証など、セキュリティ対策を多層的に実施しましょう。 セキュリティ監査や脆弱性診断を定期的に実施し、セキュリティレベルを向上させる必要があります。 クラウドプロバイダーのセキュリティサービスを活用し、最新の脅威情報に基づいた対策を講じることが重要です。
ヒューマンエラー
設定ミス、操作ミス、パスワード管理の不備など、人的ミスによる障害発生のリスクは常に存在します。
- 具体的な例
- ファイアウォール設定のミスによる不正アクセス
- 誤った操作によるデータの削除
- パスワード漏洩によるアカウントの乗っ取り
- ・・・といったヒューマンエラーから起こされた設定ミス #これはたまにニュースになったりします。。
関連サービス:リファクタリング・リアーキテクチャ
まとめ
クラウドレジリエンスは、単なる障害対策ではなく、ビジネスの成長と成功を支えるための重要な要素と言えます。
事後対応ではなく、事前対策が重要であり、リスク要因を分析し、適切な対策を事前に講じることで、障害発生時の影響を最小限に抑えることができます。また、定期的なテストや訓練を実施し、システムの回復力を高めることも重要です。クラウドレジリエンスは、技術的な側面だけでなく、組織的な側面も重要になります。障害発生時の対応手順を明確化し、関係者への教育や訓練を行うことで、迅速かつ的確な対応が可能となるのです。
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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数
監修
株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。