コード品質改善で解決する様々な開発課題

「システムが重い」「バグが多発」…その原因は?
「システムが最近、どうも重いんだよな…」 「またあの機能でバグが出たぞ。なんでだろう?」
このような声を聞いたり、実際に直面したりしているなら、それは決して珍しいことではありません。多くの企業が、長年運用してきた基幹システムやビジネスアプリケーションのパフォーマンス低下、そして頻発するバグに頭を悩ませています。
これらの問題の背景には、「技術負債」という言葉がよく使われます。
技術負債とは、短期的な都合や知識不足からコードが乱雑になったり、古い技術が温存されたりすることで、将来的に開発や保守のコストが増大する現象を指します。まるで、返済が必要な借金のように、後から利息(追加コスト)がのしかかってくるため、まさに「負債」と表現されるわけです。
しかし、もう少し深く掘り下げてみましょう。表面的な「技術負債」という言葉の裏には、もっと本質的な問題が隠れていることが多いのです。
それは、ずばり「コードの品質」です。
皆さんのシステムは、誰が見ても理解しやすいコードで書かれているでしょうか?
機能追加や変更が必要になったとき、担当者がすぐに影響範囲を把握し、スムーズに作業を進められるでしょうか?
もし、「このコードは書いた本人しか分からない」「修正するたびに別の場所でバグが起きる」といった状況であれば、それはまさに「コードがきれいではない状態」にあると言えます。
一見すると機能しているように見えるシステムでも、その内部のコードが乱雑である場合、以下のような「見えないコスト」を発生させ続けているのです。
コードの「見えないコスト」
- 開発効率の低下: 新しい機能を開発しようとしても、既存のコードが複雑すぎて解析に時間がかかったり、安易な修正が新たなバグを生んだりするため、開発スピードが著しく低下します。
- 高まる保守運用コスト: バグ修正や機能改善のたびに、コード全体を理解し直す必要があり、結果として人件費や時間が余計にかかります。
- モチベーションの低下と離職リスク: 複雑で「汚い」コードの保守は、開発者にとって非常にストレスがかかる作業です。これにより、チームの士気が下がり、優秀な人材の離職に繋がる可能性も否定できません。
- システムの不安定化: 論理が入り組んだコードは、テストが難しく、隠れたバグが潜んでいる可能性が高まります。これが、予期せぬシステムダウンや情報漏洩といった重大なインシデントに繋がりかねません。
これらの問題は、単なる「技術負債」という一言で片付けられるものではなく、企業の競争力や信頼性にも直結する深刻な課題です。特に変化の激しい現代において、システムがビジネスの成長を阻害する足かせとなってしまうことは、避けるべき事態です。
「複雑怪奇なスパゲッティコード」が引き起こす隠れたコストとリスク

※イラストはただのスパゲッティのイメージです。特に意味はありません👍
前のセクションでは、システムの「重さ」や「バグの多発」が、実は「コードの品質」に根ざしていることをお伝えしました。ここでは、その「きれいではないコード」の典型である「スパゲッティコード」が、いかに企業に隠れたコストとリスクをもたらすかを具体的に掘り下げていきます。
スパゲッティコードとは、プログラムの構造が複雑に絡み合い、まるで茹でたスパゲッティのようにぐちゃぐちゃになっていて、どこから手をつけて良いか分からない状態のコードを指すIT業界の俗語です。
開発当初は小さな機能追加で始まったものが、場当たり的な修正や設計の見直し不足によって、時間の経過とともにこのような状態に陥ってしまうことが少なくありません。
運用コストの肥大化と生産性の低下
スパゲッティコードは、直接的なシステム障害だけでなく、日々の運用コストをひっそりと、しかし確実に肥大化させます。
保守・改修の非効率化と時間浪費
長年開発を続けていると「この機能を追加したいけど、どこを触ればいいか分からない」「このバグを直したいけど、修正箇所が多すぎて見つけられない」といった声が聞こえてきます。
スパゲッティコードは、コードの依存関係が複雑なため、ちょっとした変更が予期せぬ場所で問題を引き起こす「副作用」を生み出しやすくなります。
結果として、一つのバグ修正に想定以上の時間がかかったり、新機能の追加に膨大な労力が必要になったりします。これは、まるで小さな水漏れが続いているのに、どこから漏れているのか分からず、家全体の修理が必要になるようなものです。
2023年に米国の某コミュニティサイトを運営している会社が実施した開発者アンケートによると、開発者の約半数が週に1時間以上、悪いコードベースのデバッグやメンテナンスに費やしていると回答しています。年間を通して見れば、これは莫大な人件費の無駄遣いに他なりません。
開発サイクルの長期化と市場投入の遅れ
新機能開発が停滞し、開発サイクルが長期化することも深刻な問題です。
市場のニーズは常に変化しており、競合他社に先んじて新しいサービスや機能をリリースすることは、ビジネスの成長において極めて重要です。しかし、スパゲッティコードが蔓延しているシステムでは、設計・実装・テストの各フェーズで手戻りや遅延が発生し、市場投入のタイミングを逃してしまうリスクが高まります。
これは、ビジネス機会の損失に直結する隠れたコストと言えるでしょう。
人材の流動性と引き継ぎコストの増大
複雑で読み解くのが困難なコードは、新しい開発者がプロジェクトに参画する際の障壁となります。コードの全体像を把握するまでに時間がかかり、即戦力として活躍するまでの教育コストが増大します。
さらに、既存のベテラン開発者が退職した場合、その知識が失われることで、システムのブラックボックス化が進行し、さらに保守が困難になる「負のスパイラル」に陥る可能性もあります。
これは、「属人化」という形で顕在化する運用コストです。
「見えないリスク」として蓄積されるセキュリティホールとパフォーマンス劣化
スパゲッティコードは、目に見える運用コストの増加だけでなく、企業の事業継続を脅かす「見えないリスク」も同時に蓄積していきます。
潜在的なセキュリティ脆弱性の温床
コードが複雑で構造化されていない場合、セキュリティ上の脆弱性が隠れていても見落とされやすくなります。
例えば、入力値の検証が不十分な箇所や、意図しないアクセスが可能なパスなど、悪意のある攻撃者が悪用できる「セキュリティホール」が見過ごされてしまうリスクが高まります。
一度、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティインシデントが発生すれば、企業の信用失墜や多額の損害賠償、復旧コストなど、計り知れない損失に繋がることは言うまでもありません。
システムのパフォーマンス劣化とリソース消費の増大
「システムが以前より遅くなった」と感じる場合、それは必ずしもハードウェアの老朽化だけが原因ではありません。
効率なアルゴリズムや重複した処理、不必要なデータベースアクセスなど、スパゲッティコードの中に潜む「パフォーマンス上のボトルネック」が原因であることも多いのです。
例えば、以下のようなコードは典型的なパフォーマンス劣化の原因となります。
- 同じデータを何度もデータベースから取得する処理
- ループの中で大量のオブジェクトを生成・破棄する処理
- 非同期処理を適切に利用していないため、処理がブロックされる
このような非効率なコードが蓄積されると、システム全体の処理速度が低下し、ユーザーの待ち時間が増加します。
また、CPUやメモリといったサーバーリソースを無駄に消費するため、結果的にクラウド利用料やインフラコストの増大にも繋がります。ユーザー体験の悪化は顧客満足度の低下に直結し、ビジネス機会の損失にも繋がりかねません。
このように、スパゲッティコードは単に「読みにくい」だけでなく、企業の足かせとなり、成長を阻害する重大な要因となり得ます。しかし、ご安心ください。これらの課題は、適切なアプローチでコードを「きれいにする」ことで、劇的に改善することが可能です。
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。