システム改修とは?改修の基礎知識から具体的な流れ、注意点などを詳しく解説

システム改修とは?改修の基礎知識から具体的な流れ

システムがビジネスの根幹を担う現代において、システム改修は企業の成長と安定を支える重要なプロセスです。しかし、「システム改修」という言葉は、IT業界以外の方にとっては馴染みが薄く、具体的に何を指すのか、どのようなメリットがあるのか、疑問に思われるかもしれません。

この記事では、システム改修の基礎知識から、具体的な流れ、費用、注意点を分かりやすく解説します。システム改修を検討している方、既に改修プロジェクトを進めている方、システム担当者の方など、ぜひ参考にしてください。

システム改修の基礎知識

システム改修とは何か?

システム改修とは、既存のシステムに対して、機能の追加や変更、不具合の修正、パフォーマンスの改善などを行うことを指します。システムの老朽化や、ビジネス環境の変化、新しい技術の登場など、さまざまな理由でシステム改修が必要になります。

システム改修を行う目的とメリット

システム改修を行う目的は、一言で言えば「システムの価値を高める」ことです。具体的には、以下のようなメリットが期待できます。

  • 業務効率の向上: システムの機能を改善することで、業務の自動化や効率化を促進し、人的リソースをより重要な業務に集中させることができます。
  • 顧客満足度の向上: ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)を改善することで、顧客満足度を高め、ビジネスの成長に貢献できます。
  • セキュリティ強化: セキュリティパッチの適用や脆弱性の修正などにより、サイバー攻撃のリスクを低減し、システムの安全性を確保できます。
  • コスト削減: システムの運用コストを削減したり、新しい技術を導入することで、長期的なコスト削減を実現できます。
  • 競争力強化: 最新の技術やトレンドを取り入れることで、競合他社との差別化を図り、市場における競争力を強化できます。

システム改修とシステム開発の違い

システム改修とシステム開発は、どちらもシステムに関わる作業ですが、その目的やアプローチが異なります。異なる目的やアプローチについて簡潔にまとめると以下の通りになります。

  • システム開発: ゼロから新しいシステムを構築すること。要件定義から設計、開発、テスト、運用まで、全ての工程を一貫して行います。
  • システム改修: 既存のシステムをベースに、機能の追加や変更、不具合の修正などを行うこと

システム改修の種類

システム改修の種類

システム改修は、その目的や内容によって、さまざまな種類に分類されます。下記にシステム改修の大まかな種類についてご紹介しています。

  • 機能追加: 新しい機能を追加することで、システムの利便性を向上させます。
  • 不具合修正: システムの不具合を修正し、安定稼働を維持します。
  • UI/UX改善: ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)を改善し、使いやすさを向上させます。
  • パフォーマンス改善: システムの処理速度や応答性を向上させ、パフォーマンスを最適化します。
  • セキュリティ強化: セキュリティパッチの適用や脆弱性の修正などにより、システムの安全性を高めます。
  • 法改正対応: 法改正に伴うシステムの変更を行います。
  • バージョンアップ: システムのバージョンを最新版に更新します。

余談ですが、APPSWINGBYにお問合せが最も多いが、「不具合の修正」。次に「機能追加」、「バージョンアップ」の順になっています。

システム改修の流れ

システム改修の流れ

システム改修は、一般的に以下の流れで進められます。システム改修の流れは、プロジェクトの規模や内容によって異なりますが、基本的な流れは共通しています。

  1. 企画・要件定義: システム改修の目的や目標、必要な機能などを明確にします。
  2. 設計: システムの全体像や詳細な仕様を設計します。
  3. 開発: 設計に基づいて、プログラムの開発や修正を行います。
  4. テスト: 開発したシステムが正しく動作するかを検証します。
  5. リリース: テストが完了したシステムを本番環境にリリースします。
  6. 運用・保守: リリース後のシステムを監視し、必要に応じて修正や改善を行います。

1. 企画・要件定義

システム改修の最初のステップは、企画・要件定義です。この段階では、システム改修の目的や目標、必要な機能、予算、スケジュールなどを明確にします。なぜシステム改修が必要なのか、改修によってどのような成果を期待するのかを明確にし、目的・目標の設定をします。目標は具体的かつ測定可能なものであることが重要です。

次に、システムに求める機能や性能、セキュリティ要件などを詳細に定義します。この定義のことを要件定義と呼びます。要件定義は、ユーザーのニーズや業務フローを考慮し、実現可能な範囲で要件をまとめることが重要です。

最後に、予算・スケジュールの策定を行います。システム改修にかかる費用とスケジュールを見積もり、計画を立てます。予算とスケジュールは、プロジェクトの規模や内容によって大きく異なります。

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2.設計

要件定義に基づいて、システムの設計を行います。設計には、以下の2つの段階があります。

1.基本設計: システム全体の構成や機能、データ構造などを設計します。システムの全体像を把握し、要件を満たすための基本的な設計を行います。

2.詳細設計: 基本設計に基づいて、各機能の詳細な仕様や画面設計、データベース設計などを行います。開発者がシステムを構築するための詳細な設計書を作成します。

設計は、システム改修の成功を左右する重要な段階です。要件を満たすだけでなく、使いやすさ、保守性、拡張性などを考慮した設計が求められます。

3.開発

設計書に基づいて、システムの開発を行います。開発には、プログラミングやコーディング、テストなどが含まれます。開発は、システム改修の中でも最も時間と費用がかかる段階です。

プログラミング(コーディング)は、設計書に従って、プログラムのコードを作成します。プログラミング言語や開発ツールは、システムの種類や要件によって異なるので、システムの種類や要件、または運用フェーズの管理、更新、不具合の改修などを考慮した上で適切なプログラミング言語を選定することが重要です。

単体テストは、開発したプログラムが正しく動作するかを、個別にテストのことで、開発者が行います。結合テストは 各プログラムを組み合わせた状態で、システム全体が正しく動作するかを確認するテストのことです。

開発は、計画通りに進めることが重要です。進捗状況を定期的に確認し、問題が発生した場合は、速やかに対処する必要があります。

4.テスト

開発したシステムが、要件定義で定めた機能や性能を満たしているか、不具合がないかなどを検証するのが「テスト」です。

開発したシステムが、要件定義で定めた機能や性能を満たしているか、不具合がないかなどを検証するのが「テスト」です。テストには、単体テスト、結合テストに加えて、以下のテストが行われます。

システムテスト: システム全体を本番環境に近い環境でテストし、総合的な動作を確認します。

受入テスト: ユーザーが実際にシステムを使用し、要件を満たしているかを確認します。

運用テスト: システムを実際に運用する環境でテストし、問題がないかを確認します。

テストは、システム改修の品質を確保するために不可欠な段階です。テストで見つかった不具合は、修正し、再度テストを行います。

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5.リリース・運用

テストが完了し、問題がないことを確認したら、システムを本番環境にリリースします。リリース後も、システムの監視や保守を行い、システムの安定稼働を維持します。

リリースとは、システムを本番環境に配置し、利用できるようにすることです。リリースは、段階的に行う場合や、一斉に行う場合があります。

運用とは、リリース後のシステムを監視し、パフォーマンスやセキュリティなどをチェックし、システムが安定的且つ安全な状態で稼働していることを目的とした作業のことです。運用に入ったシステムで問題が発生した場合は、速やかに対処することが求められます。

保守とは、リリース後のシステムの不具合修正や機能改善などを行う作業のことで、定期的なメンテナンスやバージョンアップなども保守の作業の中で行われます。

システム改修の費用

システム改修の費用は、改修の規模や内容、システムの複雑さ、ベンダーの選び方などによって大きく異なります。システム改修の費用は、システムの規模に応じて、改修にかかる工数が変わってきますので、システムの規模や内容をベンダーと共有し、個別で見積もりを算出します。

規模が大きなシステムでは、システム改修の費用も高額になる場合もあるため、事前にしっかりと見積もりを行い、予算計画を行うことが重要になります。

費用内訳

費用内訳は、主に以下の項目で構成されます。

  • 設計費: システムの要件定義、基本設計、詳細設計にかかる費用
  • 開発費: プログラミングやコーディングにかかる費用
  • テスト費: 単体テスト、結合テスト、システムテスト、運用テストにかかる費用
  • プロジェクト管理費: プロジェクトマネージャーの人件費や進捗管理ツールなどの費用
  • その他: システム環境の構築費用、データ移行費用、ドキュメント作成費用など

費用に影響する要因(改修規模、システムの複雑さ、ベンダーの選び方など)

システム改修の費用に影響する主な要因は以下の通りです。

  • 改修規模: 機能追加や変更の範囲、影響範囲が大きければ大きいほど改修にかかる期間はながくなり、それに比例し改修費用も高くなります。
  • システムの複雑さ: システムの構造が複雑な場合、改修作業も複雑になり費用が高くなります。システムはコードもシステム構成もシンプルなものが障害も少なく、メンテナンスやアップデートの際の工数もかかりません。初期の開発時に極力シンプルな設計にすることで、将来的に発生するシステム改修のコストを抑えることができます。
  • 開発言語や技術: 古い開発言語や特殊な技術が使われている場合、対応できるエンジニアが限られるため費用が高くなります。また、セキュリティや将来的な保守管理のことを考慮し、別の新しい開発言語に書き換えてしまうことも必要になる場合があります。
  • ベンダーの選び方: ベンダーの得意分野によって費用は異なります。新規でアプリやシステムを開発することはできても、システムの改修を行えるほど技術力がなかったり、経験のない会社などもありますので、システム改修の実績やノウハウ、信頼できるプロジェクトマネージャーを開発チームに配置できる会社を選ぶことが重要です。
  • 開発体制: 当然のことですが、社内SEだけで対応する場合と、外部ベンダーに依頼する場合では費用が異なります。
  • 開発期間: 短納期での開発は、開発リソースを増やして開発することになりますので、開発工数や管理工数などの追加費用が発生する場合があります。

費用を抑えるためのポイント

ステム改修の費用を抑えるためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 要件定義を明確にする: あいまいな要件定義は、手戻りや追加開発の原因となり、費用を増大させます。
  • 既存システムの活用: 可能な限り既存のシステムや機能を流用することで、開発費用を抑えられます。
  • 段階的な改修: 一度に全ての機能を改修するのではなく、優先度の高い機能から段階的に改修することで、初期費用を抑えられます
  • 適切なベンダー選び: 費用だけで選び、プロジェクトが長期化し、結果、失敗に終わったケースも散見されます。システム改修に実績やノウハウをもつベンダーを選びましょう。
  • コミュニケーションを密にする: 開発者と密にコミュニケーションを取り、認識のずれや手戻りを防ぐことで、費用を抑えられます。
  • 開発期間に余裕を持つ: 短納期での開発は、追加費用が発生する場合があります。開発期間に余裕を持つようにしましょう。

システム改修は、既存システムの価値を高め、業務効率や顧客満足度を向上させるための重要な取り組みです。費用を抑えつつ、自社のビジネスに最適なシステム改修を実現するために、上記のポイントを参考に、検討を進めましょう。

この記事では、システム改修の礎知識から、具体的な流れ、費用について解説しました。次の記事では、システム改修の費用について詳しくご説明する他、システム改修を行うタイミングや注意点について詳しく解説します。

システム改修を行うタイミング

システム改修を行うタイミングは、企業の状況やシステムの課題によって異なりますが、一般的には以下のタイミングで検討されることが多いです。

システムの老朽化

システムの老朽化は、システムの安定稼働を脅かす大きな要因となります。具体的には、

  • パフォーマンスの低下: 処理速度が遅くなり、業務効率が低下する。
  • セキュリティリスクの増大: 古いシステムは、セキュリティホールや脆弱性が発見されやすく、サイバー攻撃の標的になりやすい。
  • 保守性の低下: 古い技術で作られたシステムは、対応できるエンジニアが少なくなり、保守費用が高騰する。

システムの老朽化を感じ始めたら、早急に改修を検討する必要があります。

OSやミドルウェアのサポート終了

OSやミドルウェアのサポートが終了すると、セキュリティパッチやアップデートが提供されなくなり、セキュリティリスクが高まります。また、不具合が発生してもベンダーからのサポートが受けられなくなるため、システムの安定稼働が困難になります。

サポート終了のアナウンスがあった場合は、速やかにシステム改修を行い、新しいOSやミドルウェアに対応させる必要があります。

法改正への対応

法改正によって、システムの要件が変更される場合があります。例えば、個人情報保護法や電子帳簿保存法などの改正に対応するため、システム改修が必要になることがあります。

法改正に対応しないと、法令違反となり、罰金や業務停止などのペナルティを受ける可能性があります。法改正の内容を把握し、必要なシステム改修を計画的に行うことが重要です。

セキュリティ対策

サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しており、セキュリティ対策は常に最新の状態に保つ必要があります。古いシステムは、セキュリティホールや脆弱性が発見されやすく、攻撃の標的になりやすいです。

セキュリティ対策を強化するため、定期的なシステム改修を行い、セキュリティパッチの適用や脆弱性の修正を行うことが重要です。

業務効率化

業務プロセスの変更や新しいビジネスモデルの導入などにより、既存のシステムでは対応できない場合があります。システム改修によって、業務効率化や生産性向上を実現できる可能性があります。

例えば、

  • 手作業で行っていた業務を自動化する
  • データ入力や集計を効率化する
  • 情報共有をスムーズにする

といった改修を行うことで、業務効率を大幅に向上させることができます。

新しい技術の導入

AIやIoT、クラウドなどの新しい技術を導入することで、ビジネスの成長を加速させることができます。既存のシステムに新しい技術を組み込むためには、システム改修が必要になる場合があります。

例えば、

  • AIを活用したデータ分析機能を追加する
  • IoTデバイスと連携してリアルタイムデータを取得する
  • クラウドサービスを利用してシステムの拡張性を高める

といった改修を行うことで、ビジネスの競争力を強化できます。

シの競争力を強化できます。

システム改修の注意点

システム改修を行う際には、以下の点に注意しましょう。

  • 目的を明確にする: なぜシステム改修を行うのか、目的を明確にすることが重要です。目的が曖昧なまま改修を進めると、費用対効果が得られない可能性があります。
  • 要件定義をしっかり行う: システム改修の範囲や機能、スケジュール、予算などを明確に定義することが重要です。要件定義が曖昧だと、手戻りや追加費用が発生する原因になります。
  • テストを十分に行う: システム改修後には、必ずテストを行い、問題がないことを確認しましょう。テストが不十分だと、システム障害やデータ消失などのリスクがあります。
  • バックアップを取る: システム改修前に、必ずバックアップを取りましょう。万が一、改修中に問題が発生した場合でも、バックアップがあれば復旧できます。
  • 専門家に相談する: システム改修は専門的な知識が必要となるため、専門的な知識を持ち、システム改修に実績にあるベンダーに相談しましょう。

システム改修は、企業の成長を支える重要なIT投資です。適切なタイミングで適切な改修を行うことで、ビジネスの成功に大きく貢献できます。

システム改修に関するご相談・お問合せ

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この記事を書いた人

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監修

APPSWINGBY CTO川嶋秀一

株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。