データ活用の課題解決!モダンデータスタック(MDS)でROIを最大化

データ活用の課題解決!モダンデータスタック(MDS)でROIを最大化

モダンデータスタック(Modern Data Stack, MDS)をご存じでしょうか? まだ、日本では馴染みのないMDSですが、今、海外の最先端なデータエンジニアリングの現場では、企業のデータ分析の現場で挙がってくる「迅速なインサイト抽出の難しさ」と「データ資産運用化の複雑性」といった課題に対し、データの分析、効率性向上、新たな機会発見をより迅速かつ低コストで実現することができるモダンデータスタック(MDS)に注目が集まっています。

今回は、”モダンデータスタック(Modern Data Stack, MDS)の基本的な解説”の他、”MDSがもたらすROI最大化の効果”について、ご紹介していきます。

それでは、さっそくはじめていきましょう!

モダンデータスタック(Modern Data Stack, MDS)とは

モダンデータスタック(Modern Data Stack, MDS)とは、クラウドネイティブで分離されたアーキテクチャを採用した”現代的なデータ管理・分析基盤”、”データ分析基盤の構成要素群“のことです。

従来のオンプレミス型・ETL中心のデータ基盤とは異なり、MDSは「クラウド」「ELT」「セルフサービスBI」などの要素を中心に設計され、データの取り込みから分析・可視化までを柔軟かつ迅速に行えるのが特徴です。

モダンデータスタックの構成要素

モダンデータスタック(MDS)の構成要素をわかりやすいように表示にしてみました。

概要代表的なツール
① データ収集(Data Ingestion)外部サービスやアプリケーションからデータを取得し、DWHに取り込むFivetran, Airbyte, Stitch
②データストレージ, データウェアハウス(DWH)様々なデータを統合し、分析しやすい形で保存するSnowflake, BigQuery, Amazon Redshift
③ データ変換・加工(Transformation)収集したデータを整形・加工して意味のある構造にするdbt(Data Build Tool)
④ 分析・可視化(BIツール)加工済みデータを可視化・レポート化・ダッシュボード化するLooker, Tableau, Metabase, Power BI
⑤ オーケストレーション(Workflow Management)データパイプラインのスケジュール・管理・監視。
データパイプライン全体のワークフローを自動化し、実行順序や依存関係を管理する役割。
Airflow, Dagster, Prefect
⑥ データオブザーバビリティ・ガバナンス (Optional but important)データパイプラインの健全性を監視し、データ品質の問題や異常を検知する役割。データカタログやメタデータ管理、セキュリティも含む。
データの意味、出所、使用状況を管理・共有。
Data Observability Tools, データカタログ (Alation, Secoda), Great Expectations
Atlan, Datahub, Amundsen
モダンデータスタックの構成要素

モダンデータスタック(MDS)の核となっている設計の原則について、ご紹介しておきます。

モダンデータスタック(MDS)の核心的な設計原則

1.分離されたアーキテクチャ

分離されたアーキテクチャにより、各コンポーネントは独立して選択・更新・スケールできます。これにより、ベンダーロックインを避け、最適なツールを組み合わせることが可能になります。

2.クラウドファースト設計

クラウドファースト設計では、従来のオンプレミス制約から解放され、無限に近いコンピューティングリソースとストレージを活用できます。これにより、データ量の増加に対して柔軟に対応できます。

3.ELTアプローチ

ELTアプローチでは、従来のETL(抽出・変換・ロード)とは逆に、生データを先にデータウェアハウスにロードしてから変換を行います。これにより、変換ロジックの変更が容易になり、データの再処理も効率的に行えます。

4.コード化されたデータ

コード化されたデータでは、データ変換、テスト、ドキュメントをすべてコードとして管理し、ソフトウェア開発のベストプラクティスをデータエンジニアリングに適用します。

従来システムとの比較

従来のデータウェアハウスシステムでは、Oracle、IBM、Teradataなどの統合ソリューションが主流でした。これらは高い安定性を提供する一方で、導入コストが高く、スケーリングが困難で、カスタマイズの自由度が限られていました。

MDSでは、初期コストを大幅に削減できる一方で、複数ツールの統合管理が必要になりますが、各領域で最高のツールを選択できるため、全体的なパフォーマンスと柔軟性は向上します。

MDSがもたらすROI最大化の3つの効果

企業のデータ活用において、MDSが実現する3つの主要な効果について詳しく解説します。これらご紹介するMDSの効果は、単なる技術的改善ではなく、ビジネス全体の競争力を大幅に向上させる戦略的な価値を持っていると評価されているものです。

1.データ分析コストを70%削減

従来のオンプレミス型データウェアハウスと比較して、MDSは圧倒的なコスト削減を実現します。

スタートアップから成長企業まで、多くの企業がARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)の10-20%をデータ関連予算として投資している現状において、この削減効果は非常に重要な意味を持ちます。

2.クラウドネイティブ設計による運用コスト削減

MDSの核心となるクラウドデータウェアハウス(Snowflake、BigQuery、Amazon Redshift)は、従来のオンプレミス型システムと比較して以下のコスト優位性を持ちます。

  • 初期投資の大幅削減: ハードウェア購入費用の排除により、初期導入コストを80-90%削減
  • 従量課金制の活用: 実際の使用量に応じた支払いにより、過剰なリソース確保が不要
  • 運用保守費用の最小化: クラウドプロバイダーによる自動管理により、専門スタッフの配置が不要

3.自動化による人件費削減

一般的なETLソリューションの月額コストは$99から$2,000+の範囲ですが、MDSでは以下の自動化により人的コストを大幅に削減できます。

  • データパイプラインの自動構築: dbtやAirflowによる宣言的なワークフロー管理
  • スケーリングの自動化: 需要に応じたリソースの自動調整
  • 監視・アラートの自動化: 異常検知とインシデント対応の自動化

具体的コスト削減事例

製造業A社(従業員数3,000名)の実例では、以下の削減効果を実現したという報告があります。

項目従来システムMDS導入後削減率
初期導入費用5,000万円500万円90%
年間運用費用2,400万円720万円70%
専門スタッフ配置5名2名60%
MDS導入によるコスト削減事例

インサイト抽出時間を従来の1/10に短縮

データからビジネス価値を創出するまでの時間短縮は、市場競争力に直結する重要な要素です。

MDSは、従来のETL(Extract, Transform, Load)からELT(Extract, Load, Transform)アプローチへの転換により、劇的な処理速度向上を実現します。

ELTアプローチによる高速化

従来のETLプロセスでは、データ変換処理がボトルネックとなり、大量データの処理に数時間から数日を要していました。MDSのELTアプローチでは、リアルタイムデータの取り込みと最適化された処理により、分析時間の大幅な短縮を実現することが可能です。

具体的な処理時間比較

以下はあくまで参考データとしてご覧頂きたいのですが、データ量:1TB/日での実測値です。

処理内容従来ETLMDS(ELT)短縮率
データ取り込み4時間15分94%
データ変換6時間30分92%
レポート生成2時間5分96%
総処理時間12時間50分93%
具体的な処理時間比較

リアルタイム分析の実現

MDSのストリーミング処理機能により、以下のリアルタイム分析が可能になります。

  • 顧客行動の即座な分析: Webサイトやアプリでの行動データを秒単位で分析
  • 在庫最適化: 需要変動に対するリアルタイムな在庫調整
  • 不正検知: 金融取引における異常パターンの即座な検出

データ資産の収益化を実現する新たなビジネスモデル

MDSは単なるコスト削減ツールではなく、データを新たな収益源として活用するプラットフォームとしての役割を果たします。

データプロダクト化による収益創出

MDSの統合的なアーキテクチャにより、以下のデータプロダクトを効率的に開発・提供できます。

外部データ販売モデル

  • 業界特化型データセットの販売
  • API経由でのデータ提供サービス
  • データインサイトレポートの定期配信

内部最適化による利益向上

  • 予測分析による需要予測精度の向上
  • 顧客セグメンテーション高度化による広告効果最大化
  • オペレーション最適化による効率性向上

具体的収益化事例

某EC事業者の成功事例

  • 顧客行動データの活用: 購買予測モデルにより売上を25%向上
  • 在庫最適化: 需要予測精度向上により在庫コストを30%削減
  • パーソナライゼーション: レコメンド精度向上により顧客単価を15%向上

総合的な投資回収効果として、企業データ管理プラットフォームの導入により、3年間で平均348%のROIと6ヶ月未満での投資回収を実現している企業も存在します。

まとめ

MDSは、従来のデータ活用における課題を根本的に解決し、企業のデジタル変革を加速する革新的なソリューションです。

データ分析コストの70%削減、インサイト抽出時間の1/10短縮、そして新たな収益源の創出という3つの効果により、投資対効果を最大化できます。

現在のビジネス環境において、データ活用の巧拙が企業の競争力を左右する時代です。MDSの導入により、データを単なるコストセンターから利益創出の源泉へと転換し、持続可能な成長を実現することが可能になります。

貴社のデータ活用課題解決に向けて

APPSWINGBYでは、MDSの導入から運用まで、企業のデータ活用を包括的にサポートします。データ分析、システム開発・リファクタリング・データエンジニアリングの豊富な経験を活かし、貴社固有の課題に最適化されたMDSアーキテクチャをご提案いたします。

データ活用によるROI最大化をお考えの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社のビジネス成長を技術面から強力にサポートいたします。

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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

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情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
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