トランザクションデータレイクの核心技術

前回は、「今、急速に普及しているトランザクションデータレイクとは?」と題し、トランザクションデータレイクが注目され米国を中心に導入が進んでいる背景について、ご紹介しました。
今回は、今注目のトランザクションデータレイクの技術的な部分について深堀していきます。
トランザクションデータレイクの核心技術:ACID特性とタイムトラベル機能
従来のデータレイクが抱えていた信頼性の課題を解決するために、トランザクションデータレイクは、伝統的なリレーショナルデータベースが持つ強力な特性をデータレイクに持ち込みました。
それがACID特性と、それに付随するタイムトラベル機能です。
これらの技術が、データ活用の信頼性を劇的に向上させています。ACIDについて詳しく解説していきます。
ACID特性
ACIDとは、以下の4つの頭文字を取ったもので、トランザクション処理の信頼性を保証する上で不可欠な要素です。
Atomicity(原子性)
複数の操作からなる一連の処理が、すべて成功するか、すべて失敗するかのどちらかになります。
例えば、データ更新処理が途中で中断した場合でも、データは更新前の状態に戻されるため、不完全なデータが残ることはありません。これにより、データの一貫性が常に保たれます。
Consistency(一貫性)
トランザクションの開始時と終了時で、データの整合性が保たれます。
不正なデータが書き込まれることを防ぎ、データレイク内のデータが常に定義されたルールに従っていることを保証します。
Isolation(独立性)
複数のトランザクションが同時に実行された場合でも、それぞれの処理が他のトランザクションに影響を与えません。
まるで単一のトランザクションが順番に実行されているかのように動作します。これにより、データが意図しない形で上書きされることを防ぎます。
Durability(永続性)
一度コミットされたデータは、システム障害が発生しても失われることはありません。
データはストレージに永続的に保存されるため、安心してデータ活用を進めることができます。
これらのACID特性がデータレイクに組み込まれることで、信頼性の高いデータ更新や削除が初めて可能になりました。これにより、データ分析の基盤として、より安全かつ正確なデータを供給できるようになったのです。
タイムトラベル機能
ACID特性によってデータの信頼性が確保されると、次に重要となるのが「過去のデータ状態を再現する能力」です。トランザクションデータレイクが提供するタイムトラベル機能は、まさにこのニーズに応えるものです。
これは、データレイクに書き込まれるすべての変更履歴(いつ、誰が、どのような変更を行ったか)をログとして記録する仕組みです。このログを参照することで、過去の任意の時点のデータ状態を再現し、クエリを実行することができます。
例えば、以下のようなケースでタイムトラベル機能は威力を発揮します。
1.データセットの復旧
誤ったデータが書き込まれたり、削除されたりした場合でも、その変更前の時点に簡単にデータを戻すことができます。
2.再現可能な機械学習
機械学習モデルをトレーニングする際、過去の特定の時点のデータセットを正確に再現することができます。これにより、モデルの再現性とデバッグが容易になります。
3.トレンド分析
特定の時点から現在までのデータの変化を追跡し、ビジネスのトレンドやパフォーマンスの推移を詳細に分析することができます。
これらの機能は、従来のデータレイクでは実現が困難でした。トランザクションデータレイクは、データの「信頼性」と「履歴管理」という2つの強力な武器を手に入れることで、データ活用を次のレベルへと引き上げる存在となったのです。

このセクションで解説したように、トランザクションデータレイクは単なるストレージ技術ではなく、データ活用の信頼性と柔軟性を両立させるための戦略的なプラットフォームです。
次のセクションでは、実際に市場で利用されている主要なトランザクションデータレイク技術について、具体的な比較を行い、貴社に最適な技術選定のヒントを提供します。
解説記事「トランザクションデータレイクの核心技術」の続きは
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。