年間6.6兆円に達したデジタル赤字

年間6.6兆円に達したデジタル赤字

本日は、2025年2月10日にYahooニュースで配信された「24年のデジタル赤字、6.6兆円 10年で3倍、海外IT大手に依存(外部リンク)」というタイトルの記事で扱われている”デジタル赤字”について、ご紹介します。

デジタル赤字とは

「デジタル赤字」とは、公共投資や民間のITプロジェクトにおいて、海外のデジタル関連サービスの利用が増え、これらのサービス利用料の輸入額が輸出額を上回っている状態を指します。

日本のデジタル関連サービスにおける貿易収支の観点から、海外のデジタルサービス利用料が国内のデジタルサービスの輸出収入を上回る状態であること。つまり、日本国内で提供されるデジタルサービスよりも、海外のサービスを利用する際に支払う金額が多い状況という状態になっているということです。

デジタルサービスを多用する結果、外貨として多額の支払いが発生し、国内サービスの輸出収入でその分をカバーできていない状況なのです。

デジタル赤字の現状と主な要因

日本のデジタル赤字は近年拡大傾向にあり、前述したYahooニュースで報道されたとおり、2024年には過去最大の6.6兆円に達し、この10年で約3倍に増えたとされています。

この背景には、以下の要因が考えられます。

海外巨大IT企業の市場支配

グローバルプラットフォームを提供する米国巨大IT企業(GAFAMなど)が、日本のデジタル市場において大きなシェアを占めています。その原因は、国内デジタル産業の競争力不足にあると指摘されています。

技術革新の遅れ
世界市場で急速に進むデジタル技術革新に対して、国内企業の技術開発やサービス改善が追いついていないため、利用者は品質や利便性で優れている海外サービスに流れる傾向があります。

国際展開の難しさ
国内企業がグローバル市場に積極的に進出する体制や支援が十分でない場合、国内で開発されたサービスが国外で広く普及しにくく、結果として輸出額が低迷します。

利用者の利便性や品質重視の傾向

海外サービスの魅力
多くの海外デジタルサービスは、最新の技術やグローバルなユーザーベースに基づいた洗練されたサービスを提供しており、日本の消費者や企業がその利便性やコストパフォーマンスに惹かれるケースが増えています。

政策支援や産業環境の課題

政府の支援不足
国内デジタル産業を強化するための政策や補助金、税制優遇などの施策が十分に整備されていないと、企業は海外の先行するサービスとの競争に苦戦します。

インフラや規制の問題
国内のデジタルインフラや、国際標準に対応した規制・制度の整備が遅れている場合、企業が迅速にグローバル市場に参入する障壁となり、結果として海外サービスへの依存が強まります。

税制改革の推進

税負担の軽減策
中小企業の法人税や社会保険料の引き下げや、研究開発投資に対する税制優遇措置を充実させるなど、スタートアップや新興企業がリスクを取りやすい環境を整えることが求められます。これにより、スタートアップや新興企業が迅速な技術開発やサービス改善に資金を回せるようになることができます。

しかし、今の日本の現状を考えると社会保険料を含む税の負担が重く、日本国内でのスタートアップや新興企業での革新的なサービス開発にチャレンジすることは非常に厳しい環境下にあると言わざるを得ない状況です。

手続きの簡素化
日本国の税制は非常に複雑で、専門家に依頼しなければ全体像を把握することが非常に難しい状態です。税務手続きに対する税務手続きの簡素化やデジタル化を推進し、ワンストップで手続き可能な状態することが、(国として)もし可能なのであれば、企業が本来の事業活動に専念できる体制を整え、国内のデジタル産業全体の国際競争力を高める可能性がでてくるかもしれません。

デジタル赤字が拡大することの問題点

デジタル赤字の拡大は、日本経済に様々な影響を与える可能性があります。

  • 資金流出: 海外へのサービス利用料の支払いが多額になることで、国内から海外への資金流出が増加します。
  • 産業空洞化: 海外サービスに依存することで、国内のデジタル関連産業の育成が阻害され、産業の空洞化が進む可能性があります。
  • 情報セキュリティリスク: 海外サービスを利用する際に、個人情報や企業情報が海外に流出するリスクがあります。
  • 税収の減少: 海外企業が日本国内で得た利益に対して、適切な課税ができない場合があります。

デジタル赤字解消に向けた取り組み

デジタル赤字を解消するためには、以下の取り組みが必要です。

  • 国内デジタル産業の競争力強化: 日本国内のデジタル技術やサービスの開発・提供を促進し、海外サービスへの依存度を減らす必要があります。
  • デジタル人材の育成: デジタル分野に精通した人材を育成し、国内のデジタル産業を支える必要があります。
  • データ保護・管理の強化: 個人情報や企業情報の保護・管理を強化し、海外への情報流出を防ぐ必要があります。
  • 課税制度の見直し: 海外企業に対する課税制度を見直し、適切な税収を確保する必要があります。

まとめ

経済面では外貨流出や成長機会の損失、さらには国家安全保障上のリスクも含むため、国内デジタル産業の強化、国際展開の促進、インフラ整備・規制改革、規制改革に加え、税制改革による企業負担を軽減し、国内のIT投資やスタートアップによる技術・サービス開発が促進、そして国内サービスの魅力向上など、多角的な対策が必要です。これらの取り組みを通じて、日本はデジタル分野における収支の健全化と、グローバル市場での競争力強化を図ることが求められてます。

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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

ご支援業種

情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
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動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。