販売管理システムのリプレースの際に注意すべきポイント
販売管理システムとは?
販売管理システムのリプレースの際に注意すべきポイントを解説する前に、まずは販売管理システムの基本からご紹介していきます。
販売管理システムの定義と基本機能
販売管理システムとは、企業の営業活動を支援し、売上向上、業務効率化、顧客満足度向上に貢献するためのシステムです。顧客情報、商品情報、受注情報、売上情報などを一元管理することで、企業の販売活動を総合的にサポートするのが販売管理システムの目的です。
近年では、従来の販売管理機能に加えて、マーケティング機能や顧客サポート機能など、より広範囲な機能を備えたシステムも増えてきました。
過去につくりあげたシステムは、”開発した後は数年間触ることなく、保守管理のみを続けていく”というのが常識とされていた時代もありましたが、近年は、”企業の成長や経営目標に合わせた機能を販売管理システムに付加し、システムを継続的に成長させていく“スタイルが一般的になりました。
販売管理システムの基本機能
さて、ここからは販売管理システムのおさらいということで、基本となる機能についてご紹介します。
1.顧客管理
- 顧客情報の一元管理: 顧客の基本情報(氏名、住所、連絡先など)、取引履歴、属性情報などをデータベース化し、一元管理します。これにより、顧客情報の検索、参照、更新などが容易になり、顧客対応の効率化に繋がります。
- 顧客セグメンテーション: 年齢、性別、購入履歴などの属性情報に基づいて顧客をグループ分けすることで、ターゲットに合わせた効果的なマーケティング施策を展開できます。
- 購買履歴分析: 顧客の購買履歴を分析することで、顧客のニーズや嗜好を把握し、商品開発や販売戦略に活かすことができます。
- 顧客対応履歴管理: 顧客とのやり取り(電話、メール、訪問など)を記録することで、顧客対応の質向上に役立ちます。
2. 商品管理
- 商品情報の一元管理: 商品名、価格、仕入先、在庫数など、商品に関する情報を一元管理します。
- 在庫管理: 商品の入庫、出庫、在庫状況をリアルタイムに把握し、適切な在庫管理を実現します。
- 発注管理: 在庫状況に基づいて、自動的に発注を行う機能や、発注履歴を管理する機能を備えています。
- 棚卸管理: 定期的な棚卸作業を効率的に行うための機能を備えています。
3. 受注管理
- 受注処理: 受注情報の登録、確認、承認など、受注処理業務を効率化します。
- 出荷指示: 倉庫への出荷指示を自動的に行うことで、出荷作業の効率化とミス削減に繋がります。
- 売上計上: 出荷完了時に自動的に売上を計上することで、経理処理の効率化を実現します。
- 納期管理: 顧客に正確な納期を提示し、納期遅延を防止します。
4. 売上管理
- 売上分析: 売上データを様々な角度から分析することで、売上動向を把握し、販売戦略に活かすことができます。
- 収益管理: 売上原価、販売費などを分析することで、収益性を把握し、改善につなげることができます。
- 販売予測: 過去の売上データや市場トレンドなどを基に、将来の売上を予測することで、経営計画の策定に役立ちます。
5. 請求管理
- 請求書発行: 顧客情報や受注情報に基づいて、請求書を自動的に発行します。
- 入金管理: 入金状況を管理し、未入金顧客への督促を自動化することができます。
- 債権管理: 顧客の債権状況を管理し、不良債権の発生を防止します。
6. その他の機能
- 見積管理: 見積書の作成、送付、承認など、見積業務を効率化します。
- キャンペーン管理: キャンペーンの実施状況を管理し、効果を分析します。
- ワークフロー: 承認プロセスなどを自動化することで、業務効率化と内部統制を強化します。
上記の機能に加えて、近年では以下の機能を備えたシステムも増えています。
- マーケティングオートメーション: 顧客へのメール配信、Webサイトへのアクセス解析など、マーケティング活動を自動化する機能
- 顧客関係管理(CRM): 顧客との関係性を強化するための機能
- SFA(営業支援システム): 営業活動を効率化するための機能
- BI(ビジネスインテリジェンス): データを分析し、経営判断を支援する機能
販売管理システムは、多岐にわたる機能を備えているシステムです。企業の業態や規模、成長戦略に必要な機能を付加し、これらの機能を組み合わせることで、企業の販売活動を総合的に支援することを目的としているのがモダンな販売管理システムです。
なぜ販売管理システムが必要なのか?
販売管理システムを導入する主な理由は企業によって様々ですが、主な導入理由は以下の通りです。
業務効率の向上
- 手作業の自動化: 受注処理、請求書発行、在庫管理など、従来手作業で行っていた業務を自動化することで、業務効率を大幅に向上させることができます。
- 情報の一元管理: 顧客情報、商品情報、売上情報など、様々な情報を一元管理することで、情報共有の効率化、検索時間の短縮、データ入力の重複排除などが実現できます。
- 部門間連携の強化: 販売部門、経理部門、物流部門など、関連部門間で情報をスムーズに共有することで、連携を強化し、業務プロセス全体の効率化を図ることができます。
2. コスト削減
- 人件費削減: 業務効率化により、人材をより付加価値の高い業務に配置することができ、人件費の削減に繋がります。
- 在庫管理の最適化: 適切な在庫管理を行うことで、過剰な在庫を抱えるリスクを減らし、在庫コストを削減できます。
- 不良在庫の削減: 販売状況をリアルタイムに把握することで、売れ筋商品、死に筋商品を分析し、不良在庫の発生を抑制することができます。
- 事務処理コスト削減: 請求書発行、入金管理などの自動化により、事務処理コストを削減できます。
3. 売上向上
- 営業活動の可視化: 営業担当者ごとの売上実績、顧客別の売上状況などを可視化することで、営業活動の進捗状況を把握し、的確な営業戦略を立案することができます。
- 顧客ターゲティング: 顧客情報を分析し、ニーズに合った商品やサービスを提案することで、成約率向上に繋げることができます。
- アップセル・クロスセル: 顧客の購買履歴を分析し、関連商品の提案や上位商品の提案など、アップセル・クロスセルを促進することができます。
- 顧客満足度向上: 迅速な対応、的確な情報提供などにより、顧客満足度を高め、リピーターを増やすことができます。
4. 顧客満足度の向上
- 迅速な対応: 顧客からの問い合わせに迅速に対応することで、顧客満足度を高めることができます。
- 的確な情報提供: 顧客が必要とする情報を的確に提供することで、顧客の信頼を得ることができます。
- パーソナライズされたサービス: 顧客のニーズに合わせたサービスを提供することで、顧客満足度を高めることができます。
5. 経営判断の迅速化
- リアルタイムなデータ分析: 売上状況、在庫状況、顧客動向などをリアルタイムに分析することで、現状を正確に把握し、迅速な経営判断を行うことができます。
- 精度の高い経営計画: 過去のデータや市場トレンドを分析することで、より精度の高い経営計画を策定することができます。
- 問題点の早期発見: 売上低迷、在庫過多などの問題点を早期に発見し、迅速な対策を講じることができます。
その他
- コンプライアンス強化: 法令改正への対応、内部統制の強化など、コンプライアンス強化に役立ちます。
- セキュリティ対策: 顧客情報など、重要なデータのセキュリティ対策を強化することができます。
- BCP対策: 災害時などの緊急事態にも、事業継続を支援することができます。
このように、販売管理システムは、業務効率化、コスト削減、売上向上、顧客満足度向上、経営判断の迅速化など、多岐にわたるメリットをもたらします。企業規模や業種を問わず、あらゆる企業にとって、販売管理システムはビジネスの成長と成功を支える上で必要不可欠なツールと言えるでしょう。
既存システムに潜む問題点
販売管理システムは企業にとって大きなメリットがあるシステムですが、長年使用している販売管理システムには、以下のような問題点が潜んでいる可能性があります。これらの問題を明確にすることで、販売管理システムのリプレースの際の課題や目標をセットすることができます。
老朽化したシステムが抱えるリスク
- セキュリティリスク: 最新のセキュリティ対策が施されていないため、サイバー攻撃のリスクが高まる
- システム障害: システムの老朽化により、システム障害が発生しやすくなり、業務が停止するリスクがある
- 保守コスト増加: 老朽化したシステムの維持・保守には、多大なコストがかかる
- 法規制への対応: 法改正に対応できず、コンプライアンス違反のリスクがある
機能不足による業務効率の低下
- 必要な機能が不足: 業務に必要な機能が不足していると、手作業が発生し、業務効率が低下する
- データ連携不足: 他のシステムとの連携が不足していると、データの二重入力や情報共有の遅れが発生する
- モバイル対応不足: モバイル端末に対応していないと、外出先での業務が不便になる
サポート体制の不備によるトラブル発生
- ベンダーのサポート終了: システムのサポートが終了していると、トラブル発生時に対応してもらえない
- サポート対応の遅れ: サポート対応が遅いと、業務に支障をきたす可能性がある
データ活用不足による機会損失
- データ分析機能不足: 十分なデータ分析機能がないと、データ分析が難しく、経営改善の機会を逃す可能性がある
- データ可視化不足: データの可視化が不十分だと、現状把握が難しく、的確な意思決定ができない可能性がある
次回以降では、既存システムに潜む問題点、リプレースのメリット、システム選定のポイント、リプレースプロセスなどを詳しく解説していきます。
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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数
監修
株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。