2025年のサプライチェーンイノベーション:規制変化と技術革

- 1. はじめに
- 1.1. 本記事の目的と想定読者
- 1.1.1. 2025年がサプライチェーンの転換点となる理由
- 2. 企業に求められるコンプライアンス戦略
- 2.1. リスクアセスメントとガバナンス
- 2.1.1.1. 1.リスクアセスメントの実施
- 2.1.1.2. 1-2.リスクアセスメントによるコンプライアンス課題の抽出
- 2.1.1.3. 2.ガバナンス体制の構築
- 2.1.1.4. 3.リスクアセスメントとガバナンス まとめ
- 2.2. 効率的なコンプライアンス実装のアプローチ
- 2.2.1.1. 1.プラットフォームアプローチの導入
- 2.2.1.2. 2.継続的インテグレーション・デリバリー(CI/CD)との連携
- 2.2.1.3. 3.専門パートナーとの連携
- 2.3. コンプライアンスを競争優位に変える
はじめに
本記事の目的と想定読者
本記事では、2025年のサプライチェーンにおける大きな変革の潮流を解説し、特に「規制強化」と「技術革新」という2つの要因が、どのように企業のビジネスモデルやITシステムに影響を与えるかを考察します。さらに、その変化を捉えて競争優位を確立するための戦略や具体的にどのような技術を活用すべきかにも触れていきます。
想定読者は、サプライチェーンに関連するすべての方々です。昨今のITシステムはクラウドやマイクロサービス、AIなどが活用され、ますます複雑化・高度化しています。そのような環境下でサプライチェーンの近代化を推進する際に必要となる情報を提供を目的としています。
少しだけ当社のご紹介をします^^。APPSWINGBYは専門領域に特化したSIerとして多岐にわたるクラウド/ソフトウェアエンジニアリング事業(システム開発・リファクタリング・運用保守など)を通じ、お客様のシステム開発プロジェクトを支援してきました。本記事を通じて、規制面および技術面の最新動向を踏まえながら、APPSWINGBYがどのように課題解決のパートナーとしてお力になれるかを感じていただきたいと考えています。
2025年がサプライチェーンの転換点となる理由
世界的にサプライチェーンの見直しが叫ばれる中で、2025年前後を目処に大きな変化が訪れると予測されています。その背景として、以下のような要因が挙げられます。
- 各国の規制強化とコンプライアンスの複雑化
- 環境規制、情報保護規制、輸出入管理など、国際的な規制がますます厳格化。
- 特に米国、続いてEU・アジア圏などで法規制が拡大・刷新され、コンプライアンス対応が企業の負荷を増大させる。
- 例として、個人情報保護やトレーサビリティ要件の強化が、サプライチェーン全体のデータ管理を困難にしている。
- テクノロジーの進化と普及(クラウド・AI・IoT など)
- クラウドやエッジコンピューティングの進展により、リアルタイムでサプライチェーンを可視化・制御できる環境が整備されつつある。
- AIや機械学習を活用することで、需要予測・在庫管理・輸送最適化などを高度に自動化可能。
- サプライチェーンの変革と同時に、レガシーシステムやオンプレ環境のリファクタリングも急務となる。
- 地政学的リスクおよび自然災害リスクへの対応
- コロナ禍以降、世界規模のパンデミックや地政学的リスク(紛争・経済制裁など)が経済活動に影響を与えるケースが増加。
- 災害や突発的な需要変動に強いサプライチェーンを構築する必要性が高まっている。
これらの要因が相互に作用し、サプライチェーンを抜本的に変革する“転換点”が2025年前後に訪れると考えられています。「規制強化にどう対応するか」「技術革新をどう自社の競争力に取り込むか」が、今後の企業の成長を左右する鍵となるでしょう。
企業に求められるコンプライアンス戦略

サプライチェーン上でのデータ漏洩や規制違反は、企業の信頼性を大きく損ねる可能性があるだけでなく、高額な罰金や事業停止のリスクにも直結します。こうしたリスクを回避しつつ、規制強化を機会と捉えて企業の体質を改善するには「コンプライアンス戦略の確立」が不可欠です。
リスクアセスメントとガバナンス
サプライチェーンにおける規制対応やコンプライアンス強化を実行するうえで、リスクアセスメントとガバナンスは密接に関連し合うポイントとなりますので、少しだけご紹介しておきます。
1.リスクアセスメントの実施
- リスクアセスメントは、サプライチェーン全体を俯瞰し、どこにどのようなリスク(セキュリティ・法的リスクなど)が潜んでいるかを特定します。
- すべての取引先や外部委託先との契約形態、データの取り扱い範囲を把握し、不備があれば早期に修正・補完を行うことが重要です。
1-2.リスクアセスメントによるコンプライアンス課題の抽出
- リスクアセスメントの役割
- コンプライアンス戦略を策定するうえでは、まず自社のサプライチェーン全体を見渡し、「どの箇所に規制違反やセキュリティ侵害などのリスクが潜んでいるか」を把握する必要があります。これがリスクアセスメントの第一義的な役割です。
- リスク評価と優先度付け
- リスクアセスメントでは、各リスクの発生可能性や影響度(コスト・顧客信用失墜・罰金など)を定量・定性の両面から評価します。ここで抽出された優先度の高いリスク(例:GDPR違反リスク、輸出管理違反リスク等)が、コンプライアンス戦略の核心となる課題として浮き彫りになります。
- リスクアセスメントの継続的アップデート
- 規制や業務プロセスは変化し続けるため、リスクアセスメントも定期的に見直す必要があります。新しい技術導入や外部パートナーとの連携が進む場合は、リスク項目を追加し、コンプライアンス戦略を最新の状態に保つことが肝要です。
2.ガバナンス体制の構築
リスクアセスメントによって抽出された優先課題をベースに、具体的なコンプライアンス戦略(対策方針・運用ルール・教育方針など)を定めるのが次のステップです。しかし、どれほど優れた戦略を立てても、実行管理(ガバナンス)が不十分であれば戦略は形骸化しがちです。
ガバナンス=組織の統制と監督
ガバナンス体制とは、経営層や情報システム部門、開発部門、セキュリティ部門などの各組織・担当者が、それぞれの責任範囲と役割を明確にし、横断的にコンプライアンス戦略を遂行するしくみを指します。
- 例:
- 経営層: コンプライアンス戦略の方向性や投資決定を行う。
- 情報システム部門: システム全体のセキュリティ要件や運用ルールを管理。
- 開発部門: 新規開発やリファクタリング時に、コンプライアンス要件を設計に盛り込む。
- セキュリティ部門: 監査や脆弱性評価を行い、全体のリスクを継続的にモニタリング。
マネジメントサイクルとの連動
ガバナンスはPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルと結び付けることで、コンプライアンス戦略を計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)の一連の流れで継続的にブラッシュアップしていく体制を実現します。
3.リスクアセスメントとガバナンス まとめ
- コンプライアンス担当部門や情報システム部門だけでなく、開発部門・運用部門・経営層が一体となった横断的なガバナンス体制を整えることが重要です。
- 社内規程や手順書の整備だけでなく、定期的な教育や監査を行うことで、従業員・パートナーの遵守意識を高めることができます。
サプライチェーンがグローバルに拡大・分散化するほど、規制・法務・セキュリティなど多面的に対応が必要となり、開発部門だけでなく、経営・情報システム・法務など部門横断での連携が欠かせません。そこで役立つのが、外部の専門家やSIer(システムインテグレーター)とのパートナーシップです。
効率的なコンプライアンス実装のアプローチ
複雑化する法規制や業界基準に対応するには、企業が保有するシステムやワークフローにコンプライアンス要件をいかに効率的に組み込み、確実に運用できる状態を整えるかが鍵となります。
従来、コンプライアンス対応は担当部門やプロジェクト単位で個別に最適化されることが多く、運用の手間や重複が発生しやすい課題がありました。しかし、サプライチェーン全体のリスクを一元管理し、変化する規制に柔軟かつ継続的に適合させていくには、開発部門や情報システム部門だけでなく、経営層や法務、セキュリティ担当など多角的な関係者が緊密に連携し、共通基盤上でコンプライアンス施策を実装・モニタリングできる体制が不可欠です。
ここでは、こうした“全社横断的な視点”を踏まえて、コンプライアンスを単なるコストや制約ではなく、むしろ競争力を高める推進力として捉えるための具体的アプローチについて解説します。
1.プラットフォームアプローチの導入
- 企業内でバラバラに運用されているシステムやデータを、コンプライアンス要件を満たす形で一元管理するプラットフォーム化が理想的です。
- クラウドサービスの認証基準やセキュリティ要件を活用し、標準化された構成でシステムを整えることで、各国の規制に柔軟に対応できる基盤を築きやすくなります。
2.継続的インテグレーション・デリバリー(CI/CD)との連携
- 開発部門が取り組むCI/CDパイプラインにコンプライアンスチェックを組み込み、システムリリース時に法規制やセキュリティの要件を自動検証する仕組みを取り入れる企業が増えています。
- これにより、エンジニアリングの段階から遵守事項が反映され、開発スピードを落とさずにセキュリティや法令順守を担保できるようになります。
3.専門パートナーとの連携
- 各国の規制内容は複雑であり、法務やITセキュリティ、サプライチェーン分野にまたがる横断的な知見が必要になるケースも多いものです。
- 当社のようなシステムインテグレーターへコンサルティングや運用を委託することで、自社の人的リソースを最適化しながら、最新の規制要件に迅速に対応できます。
コンプライアンスを競争優位に変える
規制は一見すると「コスト増」や「自由度の制限」として捉えられがちですが、適切な戦略を持って対応すれば、大きな競争優位を生み出す可能性があります。
- ブランドイメージの向上
環境や人権に配慮したサプライチェーン構築、データ保護の徹底などは、企業ブランドへのプラス評価につながり、顧客や投資家の信頼を高めます。 - 新たなビジネスモデル創出
トレーサビリティを高めた結果として得られるデータや、コンプライアンス対応で整備されたプラットフォームを活用し、新サービスの開発や新市場の開拓が可能となります。 - リスク回避とコスト削減
コンプライアンス違反に伴う罰金や訴訟リスクを軽減し、システムダウンやデータ漏洩による損失を未然に防ぐことで、結果的にコスト削減にも寄与します。
次回の記事では、「 技術革新がもたらすサプライチェーンの進化」「開発部門が押さえておきたい課題とソリューション」にフォーカスし、AI・IoT・ブロックチェーンなどの最先端技術を活用したサプライチェーン改革のポイントを解説する予定です。ぜひ続編もご覧いただき、貴社の2025年以降のサプライチェーン戦略にお役立てください。
もし、本記事を読んでコンプライアンス対応やシステム刷新に関する具体的なご相談やご質問がございましたら、ぜひ問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。最適なソリューションをご案内いたします。

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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。