2025年に注目すべきITトレンド ~NG-DevOps
「2025年に注目すべきITトレンド」の続きです。前回の記事をまだ読んでいない方は、こちらからご覧ください。前回の記事では、DXを支えるITの変化から2025年に注目すべきITトレンドとして、”NG‐DevOps”をご紹介しました。今回は、NG‐DevOpsを深堀してご紹介していきます。
では、さっそく始めましょう!
DevOpsのおさらい
DevOpsとは何か
- DevOps とは、アプリケーションやサービスの 開発(Development) と 運用(Operations) を一体化・連携させる手法です。従来の「開発チーム」と「運用チーム」が縦割りのままでは、ソフトウェアのリリースに時間がかかり、障害対応にも遅れが生じるなどの課題がありました。
- DevOps は「継続的インテグレーション(CI)」「継続的デリバリー(CD)」「インフラのコード化(IaC)」などのプラクティスを通じて、システムの変更を素早く、しかも高品質でデリバリーできる状態を目指します。
NG-DevOpsとは何か?
NG-DevOps(Next Generation DevOps) とは、従来のDevOpsにAI(人工知能)や自動化技術を組み合わせ、開発から運用までのライフサイクルをさらに効率化・高度化する新しいアプローチを指します。マイクロサービスやマルチクラウドなど、システムがますます複雑化する中で、スピードと品質を同時に向上させるために注目されています。
DevOpsからNG-DevOpsへ進化した背景
DevOpsからNG-DevOpsへ進化した背景にあったものは3つ。
- システムの複雑化: マイクロサービス、マルチクラウド、エッジコンピューティングなどにより、構成管理が難しくなっています。
- ビジネス要求の高度化: 開発リリースのスピードアップだけでなく、セキュリティ面やコスト削減面でも高い水準を求められています。
- AI技術の成熟: 機械学習や自然言語処理など、AIが多様な業務領域で活用され、DevOpsにも応用できる要素が増えました。
これらの要因が重なり、DevOpsの進化版としてAIをフル活用するNG-DevOps が生まれています。
NG-DevOpsの主な特徴
NG-DevOpsの主な特徴は、次の通りです。
1.AI活用によるコードレビュー・テストの自動化
- 機械学習モデルを使ったコード解析で、潜在的なバグやセキュリティリスクを自動的に検出。
- テストケースの生成やリグレッションテストの実行をAIで最適化し、人手不足を補うだけでなく品質を均一化する。
2.運用監視・障害対応の高度化
- 従来の閾値ベースの監視だけでなく、AIが通常時の振る舞いを学習 し、異常があれば即座にアラートや一次対応を実施。
- 障害発生時のログ解析をAIがサポートし、原因特定と修復までを短時間で完了させる。
3.継続的フィードバックの強化
- ユーザーの利用状況やアプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで収集・解析。
- AIが重要度の高いエラーやユーザーフィードバックを優先度づけし、開発サイクルに適切に反映。
4.効率的なリソースマネジメント
- ビルドやテストで消費するクラウドリソースをAIが最適にスケジューリングし、不要なコストを削減。
- トラフィック予測やコンテナのオートスケーリングなどにもAIを取り入れ、インフラ運用を自動化。
NG-DevOpsの導入メリット
1.開発スピードと品質の同時向上
- コードレビュー・テスト工程が自動化され、人的ミスが減少。リリースサイクルを高速化しながらもバグの流出を低減できます。
2.運用コスト・負荷の削減
- AIによる自動監視や自動修復によって、オペレーターが対応しなければならない作業量が大幅に削減。重要な判断や改善タスクに集中できるようになります。
3.迅速な障害対応と高いサービス稼働率
- 障害の予兆や原因をAIが素早く検知・切り分けし、サービスダウンの時間を最小化。ビジネスへの影響を抑えられます。
4.継続的な改善サイクルの強化
- データドリブンなフィードバックループを構築することで、ユーザーの声やシステムの挙動を即座に開発に反映し、サービスを常に最適化し続けられます。
NG-DevOps導入のポイント
1.段階的なアプローチ(PoCから開始)
- いきなり全面的にAIを導入するのではなく、コードレビューやテストなど部分的な領域からPoC(概念実証)を行い、効果と課題を検証してから拡大していくことが望ましいです。
2.人材育成と組織体制の整備
- AIに精通したエンジニアやデータサイエンティストの確保・育成が不可欠です。また、従来の開発チームと運用チームの連携に加え、AI活用のノウハウを蓄積するための仕組み作りも重要です。
3.ツール選定とパートナー連携
- AIを用いたコード解析ツールや監視プラットフォームなど、多くの製品・サービスが登場しています。自社の開発環境や運用体制に合うツールを見極めるため、ベンダーや外部パートナーとの連携を検討しましょう。
4.ガバナンスとリスク管理
- AIが誤検知や過剰検知を行うリスクも考慮すべきです。最終的な判断基準や緊急時のマニュアルオーバーライドなど、人間が関与するプロセスも適切に設計しておく必要があります。
NG-DevOps は、AI技術を活用して 開発と運用のプロセスを自動化・最適化し、スピードと品質を一段高い次元で両立させる ための新たな潮流です。複雑化するシステム環境や加速するビジネス変化に対して、より柔軟かつ強固に対応できる基盤を築くうえで、NG-DevOpsへのシフトは企業競争力を高める重要なカギとなるでしょう。
導入には、AIリテラシーを持った人材の育成や、段階的なPoC・ツール選定が不可欠ですが、その投資は長期的な視点から見ても大きなリターンを生む可能性があります。今後、AIのさらなる進化とともに、NG-DevOpsは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える中心的な役割を果たし続けるでしょう。
APPSWINGBYでは、多くのDevOpsの実績だけではなく、AI(NG-DevOps)に関連する研究開発にも積極的に取り組んでいます。もし、NG-DevOpsにご興味がありましたら、こちらのお問い合わせフォームよりご相談ください。
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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数
監修
株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。