AIが生み出す雇用の二極化 米国の大量レイオフと日本の人手不足、その本質的な違いとは

2025年、雇用をめぐる米日の対照的な風景
2025年の労働市場を眺めると、太平洋を挟んで全く異なる二つの現実が展開されています。
片や米国では大手企業による大規模なレイオフの波、片や日本では深刻な人手不足の叫び。同じテクノロジーの進化、同じグローバル経済の中で、なぜこれほど対照的な状況が生まれているのでしょうか。
今回は、「AIが生み出す雇用の二極化 米国の大量レイオフと日本の人手不足、その本質的な違いとは」と題して、二か国の背景にある構造的違いを分析します。
米メディアが報じる米国大手企業のレイオフの実態
米メディアの報道によれば、2025年に入ってから米国の大手企業で人員削減が加速しています。Meta、Starbucks、Oracle、Microsoft、UPSといった名だたる企業が、「大規模な、時には歴史的な」とまで形容される人員削減を発表しました。
これらの企業が公式に掲げる理由は、主に「業務効率化」と「成長戦略への集中」です。
しかし注目すべきは、多くの企業がAIを人員削減の理由の一つとして明示的に言及している点です。
現在すでに、あるいは近い将来において、AIが人間の労働者の役割を代替できる──この認識が、経営判断の根底に存在しています。
テック企業だけでなく、小売、物流、飲食といった多様な業種にまたがってこの動きが広がっていることは、単なる一時的な調整ではなく、構造的な変化が始まっていることを示唆しています。
株主からの収益性向上の圧力、生成AIをはじめとする技術の急速な進化、そして「効率化できるならすべきだ」という米国型資本主義の論理が、これらのレイオフを後押ししているのです。
日本で同時進行する「人手不足」の叫び
一方、日本国内に目を向けると、そこには全く異なる風景が広がっています。「人手不足」「採用難」「労働力不足」──こうした言葉が、業界を問わず日々メディアを賑わせているのです。
飲食店では営業時間を短縮せざるを得ない店舗が続出し、物流業界では2024年問題として知られる運転手不足が深刻化し、介護・医療現場では慢性的な人員不足が質の低下を招いています。
製造業でも建設業でも、若手の採用が思うように進まず、事業拡大どころか現状維持さえ困難だという声が聞かれます。
政府の統計を見ても、有効求人倍率は高水準を維持し、完全失業率は歴史的な低水準にあります。表面的には「完全雇用」に近い状態ですが、現場では「必要な人材が確保できない」という悲鳴が上がり続けています。
興味深いことに、日本でもAIへの言及は増えていますが、その文脈は米国とは正反対です。AIは「人手不足を解消する救世主」として語られ、「AIを導入すれば労働力問題が解決する」という期待が膨らんでいるのは事実なのですが、同じテクノロジーが、米国では雇用削減の理由となり、日本では人手不足解消の希望となっているのです。
なぜ同じ時代に真逆の現象が起きているのか
同じ2025年という時代、同じグローバル経済の中で、同じAI技術にアクセスできる状況にありながら、なぜ米国と日本でこれほど異なる労働市場の現実が存在するのか、不思議な現象だと感じる人も多いのではないでしょうか。
私達も、この二か国の動きに違和感を感じ続けていました。
表面的には、人口動態の違いで説明できるかもしれません。日本は少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少しています。一方、米国は移民を含めた人口増加が続き、労働力の供給はより柔軟です。
しかし、この説明だけでは不十分です。
なぜなら、日本の「人手不足」の多くは、実は「適切な条件で働く人の不足」であり、絶対的な人口減少だけでは説明できない側面があるからです。同様に、米国のレイオフは単純な人余りではなく、企業の戦略的判断によるものです。
この謎を解くカギは、労働市場の構造、企業の経営思想、テクノロジーへの向き合い方、そして「効率化」という言葉が意味するものの違いにあるようです。
本記事では、この対照的な現象の背後にある本質的な違いを掘り下げ、AIが普及した近未来において日本の労働市場がどのような変化を迎えるのかを考察していきます。
太平洋の両岸で起きているこの対照的な現象は、単なる一時的な違いではありません。それは、資本主義のあり方、働くことの意味、そしてテクノロジーと人間の関係についての根本的な思想の違いを映し出しています。そして今、AIという強力なツールの登場によって、この違いが鮮明になり、同時にその持続可能性が問われ始めているのです。
次回は、「米国IT企業のレイオフ──その規模と背景」についてご紹介します。
解説記事「AIが生み出す雇用の二極化 米国の大量レイオフと日本の人手不足、その本質的な違いとは」の続きは
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
特にGoのシンプルさと高パフォーマンスを好み、マイクロサービス開発やリファクタリングに強みを持つ。
「レガシーと最新技術の橋渡し」をテーマに、エンジニアリングを通じて事業の成長を支えることに情熱を注いでいる。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
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