DX成功の鍵はリファクタリング 2025年を見据えた最新戦略
1.DXとは? 2025年に向けた企業の課題と必要性
デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が、近年、ビジネスシーンで頻繁に聞かれるようになりました。しかし、DXとは具体的に何をすることなのか、なぜ必要だとされているのでしょうか? 本記事では企業が継続しているビジネスと平行しながら、DXを実現する為に非常に重要となるポイントのなる「リファクタリング」についてご紹介します。
DXの定義と目的
経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
つまりDXとは、単にITツールを導入することではなく、デジタル技術を活用して企業の競争力を強化し、新たな価値を創造することなのです。
2025年の崖、レガシーシステムの問題点
DXを推進する上で、多くの企業が直面する課題が「2025年の崖」です。
2025年の崖とは、経済産業省が”DXレポート”で日本国内の企業が市場で勝ち抜く為にはDXが必要不可欠であり、DXを推進しない場合、競争力が大幅に低下し、2025年から年間で約12兆円(現在の約3倍)もの経済損失が発生すると予測しており、この経済損失を「2025年の崖」と表現しています。
参考URL: 経済産業省デジタルトランスフォーメーションD X レポート 2.2(概要) 外部リンク
経済産業省のレポートでは、以下のような提言を行っています。
- デジタルの活用を省力化・効率化でから収益向上にこそ活用すべき
- ビジョンや戦略だけではなく、「行動指針」を示すべき
- 個社単独でのDXは困難。同志を集めて新たな関係を構築しよう
また、老朽化したレガシーシステムを使い続けることで、システムの保守運用コストが増大し、セキュリティリスクが高まり、最新のデジタル技術に対応できなくなるなどの様々な問題が生じることを指してます。
これらの問題は、企業の競争力低下や、ビジネスチャンスの損失に繋がりかねない大きな問題ばかりです。
DX推進が遅れている企業の特徴
DXレポート2021によると、DX推進に遅れをとっている企業には、以下のような特徴が見られると指摘されています。
- 経営層のコミットメント不足
- 全社的な戦略の欠如
- IT人材の不足
- 部門間の連携不足
- 変化への抵抗
これらの課題を克服し、DXを成功させるためには、全社一丸となった取り組みが必要です。
成功するDXのための3つのポイント
- 明確なビジョンと戦略の策定: DXを通して何を実現したいのか、具体的な目標を設定し、達成するためのロードマップを作成することが重要です。
- ITシステムのモダナイゼーション: レガシーシステムを刷新し、最新のデジタル技術に対応できる柔軟なシステムを構築することで、DXを加速させることができます。
- 組織文化の変革: 新しい技術や変化を受け入れることができる、柔軟で素早い組織文化を醸成することが重要です。
DXは、企業が生き残るために不可欠な取り組みです。2025年を見据え、今こそDXを推進し、未来への競争力を強化しましょう。次章では、DX推進におけるリファクタリングの役割について解説していきます。
リファクタリングとは? DX推進における役割
DXを推進する上で、既存システムのモダナイゼーション (modernization:近代化)は重要な要素です。そのための有効な手段の一つが「リファクタリング」です。
リファクタリングの定義とメリット・デメリット
リファクタリングとは、プログラムの外部的な動作を変えずに、内部構造を改善することです。具体的には、コードの可読性を向上させたり、重複を排除したり、モジュール化を進めるなどの作業を行います。
リファクタリングのメリット
リファクタリングのメリットは多岐にわたりますが、以下にその代表的なメリットをリストしておきます。
- システムの保守性・拡張性の向上
- 開発効率の向上
- コードの品質向上によるバグの減少
- システムの寿命の延長
- 新技術への対応力向上
リファクタリングのデメリット
リファクタリングも当然、メリットだけではありません。以下にあげるようなデメリットも存在しますので、予算の範囲内で要望をどこまで実現できるかなどの検討が必要になります。
- コストと時間が必要
- リファクタリングは直接的な機能追加はない ※リファクタリングは新規機能開発ではありませんので、新たに機能を開発する場合は別途コストが必要になります。
リファクタリングの種類と手法
リファクタリングには、様々な種類と手法があります。以下にリファクタリングの代表的な種類と手法をご紹介します。
- コードの整理: 不要なコードの削除、変数名の変更、コメントの追加など
- 重複の排除: 同じ処理を複数箇所で行っている部分を共通化
- モジュール化: 関連性の高いコードをまとめてモジュール化
- 設計の改善: より適切なデザインパターンへの変更
これらの手法を適切に組み合わせることで、システムの内部構造を改善していきます。その他、リファクタリング後の機能やデグレを防止する為のテスト、リファクタ前の仕様確認など様々な工程が必要になるリファクタリングですが、ここでは割愛しておきます!
DX推進におけるリファクタリングの重要性
DX推進において、リファクタリングはなぜ重要なのでしょうか?それは、レガシーシステムをモダナイゼーション (modernization:近代化)し、DXに対応できる柔軟なシステム基盤を構築するために不可欠だからです。
リファクタリングによって、システムの保守性・拡張性を向上させることで、新たなデジタル技術を導入しやすくなり、ビジネスの変化にも迅速に対応できるようになります。
なぜ今、リファクタリングが必要なのか?
2025年の崖が迫る中、多くの企業がレガシーシステムのモダナイゼーション (modernization:近代化)を迫られています。しかし、システムを全面的に刷新するには、多大なコストと時間が必要となります。
そこで、リファクタリングが有効な手段となります。既存システムの機能を維持しつつ、段階的に内部構造を改善していくことで、コストを抑えながら、DXに対応できるシステムへと進化させることができます。
具体的に、今リファクタリングが必要な理由を以下に詳しく解説します。
1.変化の激しいビジネス環境への対応
現代のビジネス環境は、技術革新やグローバル化、顧客ニーズの多様化などにより、かつてないほど変化が激しくなっています。このような状況下では、企業は変化に柔軟に対応できるシステムを保有することが不可欠です。
しかし、レガシーシステムは、最新の技術や変化に対応することが難しく、ビジネスの足かせとなる可能性があります。リファクタリングによってシステムの柔軟性・拡張性を高めることで、変化への対応力を強化し、競争優位性を維持することができます。
2.デジタル化の加速
AI、IoT、クラウドといったデジタル技術の進化は、ビジネスに新たな可能性をもたらしています。これらの技術を効果的に活用することで、業務効率化、顧客体験向上、新サービス創出など、様々なメリットを得ることができます。
しかし、レガシーシステムは、これらの最新技術との連携が難しい場合があり、デジタル化の進展を阻害する要因となる可能性があります。リファクタリングによってシステムをモダナイズすることで、最新技術との親和性を高め、デジタル化を加速させることができます。
3.セキュリティリスクの増大
サイバー攻撃の巧妙化・増加に伴い、企業にとってセキュリティ対策は喫緊の課題となっています。特に、レガシーシステムは、セキュリティ対策が不十分な場合が多く、サイバー攻撃の標的となるリスクが高くなっています。
リファクタリングによって、セキュリティホールを解消し、最新のセキュリティ技術を導入することで、システムの安全性を強化することができます。
4.保守運用コストの増大
IT人材不足が深刻化する中、既存システムの維持・管理だけでなく、新たなシステム開発にも人材を確保することが難しくなっています。
リファクタリングによって、システムの可読性を高めることで、開発者がシステムを理解しやすくなり、開発効率を向上させることができます。また、人材の流動性が高まる中でも、システムの引継ぎをスムーズに行うことができます。
次回では、”リファクタリングによってDXを成功させた企業の事例”の他、”2025年に向けたリファクタリング戦略”についてご紹介します。
この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY マーケティング
- ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数
監修
株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。
リファクタリングエキスパートが
ソースコードを最適化!
APPSWINGBYのリファクタリングサービスでは、外部のふるまいを変更することなくコードの明瞭性を向上させ、不必要な複雑性を排除し、コードを最適な状態にします。これにより、保守性が向上し、将来の変更や追加が容易になります。また、最新の開発ベストプラクティスに基づいてコードをアップデートすることで、セキュリティの向上やパフォーマンスの最適化も実現します。