GoogleのAI検索機能がサイトの訪問者を大幅に減らす

GoogleのAI検索機能がサイトの訪問者を大幅に減らす

8/10(日)付けのYahooニュースに「グーグルのAI検索、米報道機関に衝撃 サイト訪問不要に トラフィック激減で事業モデル転換模索 ※外部リンク」と題した記事が掲載されていました。

米グーグルが本格導入したAI検索機能が、検索経由のサイト訪問する人々の数を大幅に減らし、収益機会を喪失し、収益モデルの転換を余儀なくされているという内容です。

当社の解説記事でも以前に

生成AI時代におけるブランドマネジメントの転換
企業が直面する新たなブランド競争環境

と題し、グーグルのAI検索機能により検索ユーザーのネット上での行動が大きく代わり、ブランドマネジメントを大きな見直しが必要になるとご紹介していましたが、米国のサイト運営者でもビジネスモデルの変換を強いられる程の深刻な状況が大きく問題視されるようになってきました。

記事の最後では、「淘汰の時代か、新たな共存か」という小タイトルのもと様々な企業が現在模索の真っただ中であることについても伝えています。


日本でも既にグーグルのAI検索機能はリリースされており、まだトラフィックの大幅な減少を問題視する声はあまり聞こえてきませんが、今後大きな問題となってくることは間違いないでしょう。

本記事では、再度、Googleが提供してきたAI検索機能が与える影響について、解説していきます。

AI検索問題についての現況

前述しましたが、GoogleのAI検索機能(AI Overviewなど)によるウェブサイトのトラフィック減少は、現在進行形で議論されている大きな問題です。

Googleは全体的なクリック数は安定していると主張していますが、多くの第三者機関やメディアの調査では、特にニュースサイトや情報提供サイトでトラフィックが大幅に減少しているという報告が相次いでいます。

Online news publishers face ‘extinction-level event’ from Google’s AI-powered search ※外部リンク

上記の記事では、Google のAI Overviews導入により、報道機関や情報サイトが劇的な減少に直面しており、米大手のニュースサイトCNNのウェブサイトへのトラフィックは、1年前と比べて約30%減少しましたと報告しています

また、Pew Research Centerの調査では、Googleでニュース検索した際にリンクをクリックしない割合が56%から69%近くまで上昇し、2024年には米国でのGoogle検索のうちWebサイトへのクリックに至るのはわずか36% となったと報告しています。

Columbia Journalism ReviewMarketing Tech News ※外部リンク

Googleの主張と第三者機関の報告の乖離

Googleの主張

  • Googleの検索責任者は、AI機能導入後も検索クリックの総量は安定しており、質の高いコンテンツへのクリックはむしろ増加していると述べています。AIは概要を提供するが、ユーザーはさらに深く学ぶためにクリックするため、クリックの質が向上したという見解です。

第三者機関の報告

上記した通り、Pew Research Centerの調査などでは、AI Overviewが表示された際のクリック率が大幅に低下したという結果が出ています。また、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの報道によれば、ビジネス・インサイダーやワシントン・ポストといった大手メディアが実際にトラフィック減少に直面し、事業に影響が出ているとされています。

この乖離は、全体的な検索トラフィックは安定している一方で、特定のジャンルやコンテンツを提供するサイトが大きな打撃を受けているという状況を示唆しています。特に、単一の事実や質問に対する答えを簡潔にまとめるタイプのコンテンツは、AIに要約されやすく、ユーザーがサイトに訪問する動機を失う傾向が顕著にでています。

近い将来のトラフィック推移予測

今後、AI検索機能はさらに進化し、日本の検索市場でもその影響は拡大していくことは間違いありません。

全体の検索トラフィックは、AIによる回答で完結する「ゼロクリックサーチ」の増加により、減少傾向が続くと予測されます。特に「〇〇とは?」「〇〇の方法」といった、事実確認やシンプルな手続きに関する検索クエリでは、AIが提供する要約でユーザーの疑問が解決するため、ウェブサイトへの訪問が減少する可能性が高いです。

一方で、以下のような特定のコンテンツはトラフィックを維持、あるいは増加させる可能性があります。

専門家の知見や独自の調査結果、深い考察が含まれるコンテンツは、AIの要約では満足できず、ユーザーがサイト訪問を強く望むため、トラフィックが維持される可能性があります。

個人の体験に基づくリアルなレビューや感想は、AIが生成する一般的な情報とは異なる価値を持つため、ユーザーの関心を引きつけるコンテンツ戦略は有効な手段のひとつと考えることもできます。

また、動画、ポッドキャスト、写真中心のコンテンツなど、AIでは代替しにくい体験を提供するコンテンツは、引き続き強いトラフィックを確保できるでしょう。

一方で、従来のキーワード中心のSEOは相対的に重要性が低下し、ユーザーの検索意図(インテント)により深く応えるコンテンツ作成の重要性が増すと予測されます。

短期(6ヶ月~1年)な予測

  • 現在日本でのAI Overview表示率は米国より低いですが、段階的に拡大予想
  • ニュース検索での無クリック率が現在の50%台から65-70%台まで上昇
  • 情報系・ハウツー系コンテンツで10-30%のトラフィック減少

中期(1-3年)な予測

  • AI Overview表示率が米国レベル(18%)まで拡大
  • GoogleはAI Overviewをここ10年で最も成功した検索機能の一つ。「検索における AI : 情報を超えた知性へ」と位置づけており、さらなる機能拡張を予想
  • 総合的に20-40%のオーガニックトラフィック減少が見込まれる

長期(3-5年)

  • AI検索が標準となり、従来型SEOの効果が大幅に低下
  • 直接回答可能なクエリでの40-60%トラフィック減少
  • 生き残るサイトは独自性・専門性・体験価値での差別化が必須

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株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

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情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
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動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
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