Web検索から生成AIへ:AIブラウザ時代の到来と検索行動の構造変化

2025年10月、OpenAIはChatGPT Atlasを発表(※外部リンク)し、AIブラウザ市場に本格参入しました。これは単なる新しいブラウザの登場ではなく、情報探索とインターネット利用の根本的な変革を示唆する出来事です。
従来、私たちはGoogle ChromeやSafariといったブラウザで検索エンジンを使い、膨大な検索結果から必要な情報を探し出してきました。
しかし生成AIの急速な普及により、この行動様式は大きく変わりつつあります。キーワードを入力して検索結果を比較する代わりに、自然言語で質問し、AIが統合された回答を返す──このパラダイムシフトは、情報産業の構造そのものを揺るがしています。
本記事では、Web検索から生成AIへの利用者のシフトという大きな潮流を、最新のデータと調査結果をもとに分析し、生成AI利用者の拡大動向、AIブラウザの技術的進化、市場競合の状況、そして今後の展望までを体系的に分析し、企業と個人が取るべき戦略を提示します。
はじめに
日本では2024年6月から2025年3月の9ヶ月間で、生成AIの個人利用率が15.6%から27.0%へと急伸と大手メディアが報じて言うなど、今や4人に1人以上が生成AIを体験する時代になりました。
企業においても、試験段階から本格活用へと移行が進んでいます。
ChatGPT Atlasは、ブラウザメモリによるパーソナライゼーション、あらゆるページでのAI利用、そしてユーザーに代わってタスクを実行するエージェントモードなど、従来のブラウザの概念を超える機能を提供します。
一方、GoogleやMicrosoftといった既存のブラウザベンダーも、AI統合を急速に進めています。
この変化は、単なる技術トレンドではありません。検索エンジンの利用が減少し、AIを介したトラフィックが急成長する中で、企業のマーケティング戦略、Webサイトの設計、そしてビジネスモデルそのものの見直しが求められています。
第1章 生成AI利用者の急拡大とWeb検索からのシフト
1.1 生成AI利用率の推移(2024-2025年)
日本における個人利用率の急伸:15.6%→27.0%へ
総務省の令和7年版情報通信白書(概要)※外部リンクによると、2025年3月時点で26.7%の個人が生成AIを利用しており、2023年の調査から17.6%上昇しました。
この急激な伸びは、生成AIが特別なものではなく、日常的なツールとして浸透し始めていることを示しています。
サービス別では、ChatGPTが12.3%から20.8%へと8.5ポイント上昇し、最も利用されているAIプラットフォームとしての地位を維持しています。
Geminiは3.2%から10.4%へと7.2ポイント上昇 し、ChatGPTに次ぐポジションへと急成長しました。
しかし、総務省が2025年7月に公表した令和7年版情報通信白書を元に海外の先進国と比較すると、日本の個人の生成AI利用経験は26.7%であり、前回調査の約3倍に増えたものの、国際比較では依然として大きな差があります。
年代別の傾向を見てみると、最も利用率が高い20代は44.7%で、40代(29.6%)、30代(23.8%)、50代(19.9%)と続き、最も低い60代は15.5%という結果になりました。若年層ほど生成AIへの抵抗感が少なく、積極的に活用している様子が見て取れます。
利用しない理由としては、「生活や業務に必要ない」が4割を超えて最多で、「使い方がわからない」も4割近い水準でした。
これは、生成AIの具体的なメリットがまだ十分に理解されていないこと、そして使い始めるまでのハードルが依然として高いことを示しています。
世界各国の生成AI普及状況:日本の立ち位置
国際比較を見ると、日本の生成AI普及は世界的に見て遅れていることが明らかです。中国は81.2%、米国は68.8%、ドイツは59.2%と、主要国では既に過半数以上が生成AIを利用しています。
この差は、単なる技術の普及スピードの違いだけでなく、文化的な受け入れ方や教育、情報へのアクセスの違いも関係していると考えられます。中国では政府が積極的にAI産業を推進しており、米国では技術への好奇心と投資が盛んです。
日本では慎重さと完璧主義が、新技術の採用を遅らせている可能性があります。
企業の業務利用においても、国内企業での利用率は55.2%だったが、中国(95.8%)、米国(90.6%)、ドイツ(90.3%)はいずれも9割を超えており、大きな差が開いています。
さらに、日本で活用方針を定めている企業は42.7%にとどまり、約8割以上で活用方針を定めていると回答した米国、ドイツ、中国と比較すると、その割合は約半数でした。
米大手のリサーチ企業による調査では、日本は活用の推進度こそ平均的だが、他国に比べて効果創出の水準が低くとどまっているという結果が示されました。
これは、日本企業が生成AIを導入しているものの、その活用方法が十分に最適化されていないことを意味します。
同調査は、高い効果を上げている企業は、生成AIを単なる効率化ツールではなく、業務や事業構造の抜本的改革の手段と捉えていると指摘しています。
日本では、このような先進的な取り組みを実現する企業の割合が少なく、それが全体としての成果の差となって表れているのです。
企業導入の本格化:試験段階から戦略的活用への移行
企業における生成AIの導入は、2024年から2025年にかけて質的な転換を遂げています。
日本国内のリサーチ企業の調査によると、ChatGPTをはじめとする言語系生成AIの導入企業(準備中含む)は2023年度の26.9%から2024年度には41.2%へと14.3ポイント急伸しました。
特に大企業での導入が顕著で、売上高1兆円以上の企業では92.1%(導入済み73.7%+試験導入中・導入準備中18.4%)と、ほとんどの企業が少なくとも導入準備段階に至っている 状況です。
その他の調査では、企業の生成AI活用ステージの変化が明確に示されています。
2023年度は「少人数での試験環境を構築して利用している」企業が74%と大半を占めていたが、2024年度は「特定の部門や業務で本格的に利用する」企業が64%に拡大し、2025年度は69%の企業が「全社で本格的に利用する」方針です。
この変化は、生成AIが「試してみる」段階から「本格的に活用する」段階へとシフトしていることを明確に示しています。
現在利用されている業務は、営業・販売が48%と最も多く、情報処理・情報システム関連が40%、マーケティング・調査が37% と続いています。これらの領域では、文章作成、データ分析、顧客対応といった生成AIの得意分野との親和性が高いためです。
導入効果については、「期待を大きく超える効果があった」「概ね想定どおりの効果であった」「期待値には至っていないが一定の効果はあった」を合わせると73.2%となり、生成AIを導入した企業の約7割が何らかの効果を感じているという結果が出ています。
具体的な成果として、大手の某ITグループでは、生成AI活用により2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減し、従業員の83.9%が生成AIを活用していると報告しています。
しかし、課題も明確になっています。
約6割の企業が「効果測定は行っていない」と回答 しており、多くの企業がAI導入に効果を感じてはいるものの、明確な効果測定には至っていません。
また、97%の企業が課題を感じており、「AIやデジタルの高度な知識・技術を持つ人材が足りない」「セキュリティやプライバシーの確保」が31%で並んでいるという状況です。
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
特にGoのシンプルさと高パフォーマンスを好み、マイクロサービス開発やリファクタリングに強みを持つ。
「レガシーと最新技術の橋渡し」をテーマに、エンジニアリングを通じて事業の成長を支えることに情熱を注いでいる。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
特にGoのシンプルさと高パフォーマンスを好み、マイクロサービス開発やリファクタリングに強みを持つ。
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