k-meansクラスタリングとは

k-meansクラスタリングは、データセットを、互いに類似したデータポイントからなるk個のグループ(クラスタ)に分割する、最も広く知られた教師なし機械学習アルゴリズムの一つです。

k-meansクラスタリングの概要と目的

k-meansクラスタリングは、データポイント間の距離(類似度)に基づいてデータを分類する、パーティショニング型のクラスタリング手法です。このアルゴリズムは、データの背後にある自然なグループ構造を発見することを目的に使用されます。

教師なし学習であるため、事前にデータの正解ラベル(カテゴリ)を必要とせず、データそのものの内在的な構造からグループ分けを行います。

モデルの名称にある「k」は、ユーザーが事前に指定する必要があるクラスタの総数を意味し、「means」はクラスタの平均値、すなわち重心(Centroid)を用いてクラスタを定義する点に由来します。

主な目的は、指定されたクラスタ数kに基づいて、クラスタ内のデータポイント間の類似度を最大化し、クラスタ間の類似度を最小化するようにデータを分割することです。

k-meansクラスタリングの動作原理

k-meansアルゴリズムは、反復的な最適化プロセスを通じて、データポイントを最も近いクラスタの重心に割り当て、その後、クラスタの重心を再計算するという手順を繰り返します。

1. 初期化

  • クラスタ数の決定: ユーザーがクラスタ数 k を決定します。
  • 重心の初期配置: データセットの中から、ランダムに k 個のデータポイントを選択するか、あるいは特定のヒューリスティックな手法(例:k-means++)を用いて、初期のクラスタ重心(セントロイド)を配置します。

2. 反復的な最適化ステップ

以下の2つのステップを、重心の位置がほとんど変化しなくなるか、あるいは事前に設定された反復回数に達するまで繰り返します。

  • ステップ1: 割り当て(Assignment)
    • データセットの各データポイント xi​ について、既存の k 個の重心のうち、最も距離が近い重心 cj​ を見つけます。
    • データポイント xi​ を、その最も近い重心が属するクラスタに割り当てます。距離の計算には、通常ユークリッド距離が用いられます。
    Cluster(xi​)=argj∈{1,…,k}min​∥xi​−cj​∥2
  • ステップ2: 更新(Update)
    • 各クラスタに新しく割り当てられたすべてのデータポイントの平均(重心)を計算し、その結果を新しいクラスタの重心 cj​ とします。

c_j = \frac{1}{|S_j|} \sum_{x_i \in S_j} x_i

ここで Sj​ はクラスタ j に属するデータポイントの集合です。

3. 目的関数(最小化)

k-meansの目的は、クラスタ内誤差平方和(Within-Cluster Sum of Squares, WCSS)を最小化することです。WCSSは、各データポイントと、それが属するクラスタの重心との間の距離の平方和として定義されます。

k-meansの課題とクラスタ数の決定

課題

  • 初期値依存性: 初期にランダムに選ばれる重心の位置によって、最終的に得られるクラスタ結果(局所最適解)が異なる場合があります。この問題を軽減するため、通常は複数の初期値で実行し、WCSSが最も小さい結果を採用します。
  • 非凸形状への対応不可: k-meansはユークリッド距離に基づき円形または球形のクラスタを前提とするため、複雑な非凸形状(例:三日月形)のクラスタ構造を持つデータセットには適しません。
  • 外れ値への弱さ: 外れ値が存在すると、その外れ値がクラスタの重心を大きく引きずり、クラスタリング結果に悪影響を及ぼす可能性があります。

最適なクラスタ数kの決定

k-meansの最大の欠点の一つは、クラスタ数 k を事前に決定する必要がある点です。これを補助するために、以下のヒューリスティックな手法が用いられます。

  • エルボー法(Elbow Method): k の値を増加させながらWCSSを計算し、WCSSの減少率が急激に緩やかになる点(肘のように曲がる点)を最適な k と判断します。
  • シルエット分析(Silhouette Analysis): 各データポイントが、自身のクラスタにどれだけ適合しており、他のクラスタからどれだけ離れているかを示すスコア(シルエット係数)を計算し、この平均値が最大となる k を最適なクラスタ数とします。

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