NAS(Network Access Server)とは

NAS(Network Access Server)は、ダイヤルアップ接続やVPN、無線LANなどを介してネットワークへ接続しようとするユーザーに対し、そのアクセス要求を一時的に受け取り、認証サーバーと連携して接続の可否を制御するゲートウェイ機器やソフトウェアのことです。

ネットワーク構成における「アクセスポイント」としての役割を担い、ユーザーとバックエンドにある認証システム(RADIUSサーバーなど)との仲介役を務めることで、企業ネットワークやISP(インターネットサービスプロバイダ)への不正な侵入を防止します。

なお、一般的に普及しているファイルサーバーを指す「Network Attached Storage」とは異なる概念であるため、混同しないよう注意が必要です。

NAS(Network Access Server)の役割と仕組み

NASは、OSI参照モデルのデータリンク層(第2層)またはネットワーク層(第3層)において、ユーザーからの接続要求を処理します。

1. 接続の仲介

ユーザーがインターネットや社内LANにアクセスしようとする際、最初に通信を確立するのがNASです。NASはユーザーから送られてきた認証情報(IDやパスワード)を直接検証するのではなく、背後に控える認証・認可・課金(AAA)サーバーへ転送します。

2. AAAプロトコルとの連携

NASは主にRADIUS(Remote Authentication Dial In User Service)やDiameterといったプロトコルを使用して、AAAサーバーと通信します。

  • Authentication(認証):ユーザーが本人であるかを確認します。
  • Authorization(認可):認証されたユーザーに対し、特定のサービスやリソースへのアクセス権限を付与します。
  • Accounting(課金・計数):ユーザーの接続時間やデータ通信量を記録し、ログ管理や課金計算に役立てます。

3. セッション管理

認証が成功すると、NASはユーザーに対してIPアドレスを割り当て、セッションを開始します。通信が終了するまでの間、トラフィックの監視や制御を行い、切断時にはリソースを適切に解放します。

NASの具体例

NASという用語は、文脈によって以下のような具体的な機器や形態を指すことがあります。

  • VPNコンセントレータ:遠隔地からのVPN接続を受け入れる専用装置。
  • 無線LANコントローラー:Wi-Fiアクセスポイント経由の認証を一括して管理するシステム。
  • ISPのアクセスサーバー:かつてのダイヤルアップ接続や、現代のPPPoE接続を受け入れる大規模な集線装置。

理論的なスループットと負荷の評価

NASが同時に処理できるセッション数や認証要求の頻度は、システムの安定性に直結します。 NASの処理負荷

L_{nas}

は、単位時間あたりの新規接続要求数

\lambda

、平均セッション維持時間

\mu

、および1リクエストあたりの認証処理コスト

C_{auth}

を用いて、以下のようにモデル化されます。

L_{nas} = \lambda \times C_{auth} + k(\lambda \times \mu)

(ここで

k

は、維持されているアクティブなセッションを監視するためのオーバーヘッド係数を示します)

この計算に基づき、NASには十分なCPUリソースと、認証サーバーとの間の低レイテンシなネットワーク経路が求められます。

導入と運用の留意点

1. 冗長性の確保

NASはネットワークの「玄関口」であるため、ここが故障するとすべてのユーザーがサービスを利用できなくなります(単一障害点)。そのため、複数のNASを配置して負荷分散(ロードバランシング)を行ったり、冗長構成をとったりすることが一般的です。

2. セキュリティプロトコルの選択

NASと認証サーバー間の通信は、パケットの改ざんや盗聴を防ぐために共有鍵(Shared Secret)による保護が行われます。より強固なセキュリティを求める場合は、IPsecなどの暗号化技術を併用して通信経路全体を保護する設計が推奨されます。

NASは、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)へと進化する現代のネットワークにおいても、アイデンティティに基づいた動的なアクセス制御を行うための重要なコンポーネントであり続けています。

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