OLAPとは
OLAPは、大量のビジネスデータを多角的な視点から高速に分析し、レポート作成や意思決定支援に活用するための、データウェアハウス(DWH)やデータマート上で使用される技術および概念のことです。
OLAPの概要と目的
OLAP(Online Analytical Processing、オンライン分析処理)は、主に企業が保有する過去のトランザクションデータ(取引記録など)を集約・整理したデータウェアハウス環境において、経営者やアナリストが迅速かつ柔軟にデータを分析するために設計されたシステムです。
これは、日々の業務処理を目的とするOLTP(Online Transaction Processing、オンライン取引処理)とは対照的な役割を果たします。
OLTPが個別の取引の記録・更新(例:商品の購入、在庫の増減)に焦点を当てるのに対し、OLAPは、それらの記録されたデータを基に、集計、傾向分析、予測など、複雑な分析クエリを瞬時に実行することを得意とします。
OLAPのデータ構造は、多くの場合、複数の視点(例:時間、製品、地域)からデータを階層的に把握できるように多次元(マルチディメンション)に構築されます。
主な目的は、大量の履歴データからビジネスのパターン、トレンド、洞察を抽出し、データドリブンな意思決定を支援することです。
OLAPの多次元データ構造
OLAPにおいて、データはデータキューブと呼ばれる多次元の構造で格納されます。
データキューブは、データ分析の「物差し」となるディメンション(軸)と、計測対象となるメジャー(数値)で構成されます。
1. ディメンション(Dimension)
- 概要: データを分析するための視点や分類の軸となるものです。
- 例:
- 時間: 年、四半期、月
- 地域: 国、地域、店舗
- 製品: カテゴリ、製品名、サイズ
2. メジャー(Measure)
- 概要: 分析の対象となる具体的な数値(指標)です。
- 例: 売上高、原価、利益率、顧客数
たとえば、「地域」「製品」「時間」という3つのディメンションを持つデータキューブは、各交差点に「売上高」というメジャーの値を持つ立方体として概念化できます。
OLAPの主要な分析操作
OLAPシステムは、ユーザーが多次元データキューブを直感的に操作し、必要な視点に切り替えて分析できるように、いくつかの標準的な操作機能を提供します。
1. ドリルダウン(Drill-Down)とドリルアップ(Drill-Up)
- ドリルダウン: ディメンションの階層を深掘りし、より詳細なデータを見る操作です。(例:年次売上から月次売上へ)
- ドリルアップ(ロールアップ): ディメンションの階層を遡り、データを集約してより広範な視点から見る操作です。(例:月次売上から四半期売上へ)
2. スライス(Slice)とダイス(Dice)
- スライス: キューブの一つのディメンションを特定の単一の値に固定し、その結果としてできるサブキューブ(断面)を取得する操作です。(例:2024年1月の全地域の売上データを取り出す)
- ダイス: 複数のディメンションに対して特定の範囲(複数の値)を指定し、小さなサブキューブを切り出す操作です。(例:日本とアメリカの、スマートフォンの、2024年第1四半期の売上データを取り出す)
3. ピボット(Pivot)
- 概要: キューブのディメンションの軸を回転・交換し、データの表示形式を変更する操作です。(例:行に製品、列に地域を配置していたものを、行に地域、列に製品を配置するように切り替える)
OLAPの実装タイプ
OLAPは、基盤となるデータの保存方法によって、いくつかの主要なタイプに分類されます。
- ROLAP (Relational OLAP): リレーショナルデータベース(RDB)を基盤とし、多次元分析をSQLクエリの実行によって実現するタイプです。大量のデータを扱えますが、複雑なクエリではパフォーマンスが低下しやすい傾向があります。
- MOLAP (Multidimensional OLAP): データキューブを専用の多次元データベースに格納します。事前に計算・集約されたデータ(集計値)を利用するため、クエリのレスポンス速度が非常に高速です。
- HOLAP (Hybrid OLAP): ROLAPとMOLAPの長所を組み合わせたハイブリッド型です。詳細データはRDBに、集約データは多次元データベースに格納し、バランスの取れた性能を提供します。
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