生成AIは機械学習から始まる-その3:教師なし学習(Unsupervised Learning)

今回は「生成AIは機械学習から始まる」シリーズの第三回目です。
第一回目は、「基礎から理解する技術の系譜と実装への道」と題して、機械学習(ML)についての基礎と伝統的なプログラミングとの違いについて解説しました。第二回目は、「機械学習のアプローチ」と題して、機械学習の3つの学習方式:教師あり・教師なし・強化学習について解説しました。
シリーズ3回目となる今回は、「教師なし学習(Unsupervised Learning)」の基礎についてご紹介します。 教師あり学習(Supervised Learning)については以下の第二回目をご覧ください。
第一回目:生成AIは機械学習から始まる:基礎から理解する技術の系譜と実装への道
第二回目:生成AIは機械学習から始まる-その2:機械学習のアプローチ
では、さっそくはじめていきましょう!
教師なし学習(Unsupervised Learning)
教師なし学習(Unsupervised Learning)とは、入力データのみが与えられ、対応する正解ラベルや出力結果が提供されない状態で、データ内部に潜むパターン、構造、および関連性を発見することを目的とした機械学習の手法のことです。
教師なし学習は、教師あり学習とのは異なり正解ラベルのないデータから学習を行います。
システムは自らデータの構造やパターンを発見しなければなりません。
基本的な仕組み
教師なし学習では、システムに「問題だけ」を与えます。正解は教えません。システムは、データに内在する構造、パターン、規則性を自律的に発見します。
これは、人間が新しい都市を探索するときに似ています。
地図も案内もなく、自分で歩き回りながら「ここはビジネス街だ」「ここは住宅地だ」「このエリアは似た雰囲気の店が集まっている」といったパターンを発見していくようなものです。
教師なし学習(Unsupervised Learning)は、機械学習の主要なパラダイムの一つであり、データセットに含まれる暗黙的な情報や規則性をモデル自身が自律的に学習することに焦点を当てているのです。
教師なし学習で解決できる問題
教師なし学習は、正解ラベルがないという制約の中で、データに対して様々な種類の分析や処理を行うことができます。代表的なものとして、似たデータをグループ化する、データの次元を削減する、データの分布を理解するといったアプローチがあります。
次のセクションから、これらの具体的な問題タイプを見ていくことにしましょう。
主な問題タイプ
1. クラスタリング(Clustering)
似たデータをグループ化する手法です。事前にグループ数を指定する場合と、データから自動的に決定する場合があります。
例:
- 顧客セグメンテーション:購買行動が似た顧客をグループ化
- 画像の自動分類:ラベルなしの画像を視覚的特徴で分類
- 遺伝子発現パターンの分析:似た発現パターンを持つ遺伝子をグループ化
- 異常検知:通常のパターンから外れたデータを発見
2. 次元削減(Dimensionality Reduction)
高次元データを低次元に圧縮しながら、重要な情報を保持する手法です。
例:
- 可視化:数百次元のデータを2次元や3次元に変換して可視化
- 特徴抽出:データの本質的な特徴を抽出
- ノイズ除去:重要でない情報を削減
- 計算効率の向上:データサイズを削減して処理を高速化
3. 密度推定
データがどのように分布しているかを推定します。これは生成AIの基礎となる重要な概念です。
例:
- データの生成メカニズムの理解
- 異常値の検出
- 新しいデータサンプルの生成
クラスタリング、次元削減、密度推定についてご紹介しました。これらは実際に教師なし学習を実践していく中で覚えていくことになりますので、ここではこんな問題タイプがあるのかといった程度で覚えていけばいいでしょう。
教師なし学習の強みと課題
教師なし学習の強みと課題についても、簡単にまとめておきます。
強み:
- ラベリング不要:人間が正解を用意する手間とコストが不要
- 未知のパターン発見:人間が気づかないパターンを発見できる
- 大量データの活用:ラベルなしデータは大量に存在する
課題:
- 評価の困難さ:正解がないため、結果の良し悪しを判断しにくい
- 解釈の必要性:発見されたパターンが意味のあるものか、人間が解釈する必要がある
- 不確実性:同じデータでも実行ごとに異なる結果が得られることがある
生成AIとの関係
前回は教師あり学習、そして今回は教師なし学習についてご紹介しました。
今の世の中は、生成AI真っ只中の世となっていますが、多くの生成AIモデルが教師なし学習または半教師あり学習に基づいているという点です。
例えば、大規模言語モデル(LLM)は、大量のテキストデータから言語の構造やパターンを教師なし学習的に獲得しています。これについては後のセクションで詳しく解説します。
生成AI、大規模言語モデル(LLM)を学習する前に、強化学習(Reinforcement Learning)について解説しておきます。強化学習もとても重要ですので、ここで覚えておきましょう。
教師なし学習(Unsupervised Learning)の解説はここまでにしておきましょう。次回は、強化学習(Reinforcement Learning)についてご紹介します。
解説記事「生成AIは機械学習から始まる-その3:教師なし学習(Unsupervised Learning)」の続きは
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
特にGoのシンプルさと高パフォーマンスを好み、マイクロサービス開発やリファクタリングに強みを持つ。
「レガシーと最新技術の橋渡し」をテーマに、エンジニアリングを通じて事業の成長を支えることに情熱を注いでいる。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
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