「微信(ウィーチャット/WeChat)」を利用して、中国当局が「チャット内容の監視」や通信記録を監視
THE WALL STREET JOURNALが、中国ネットサービス大手テンセントホールディングスが提供するアプリ「微信(ウィーチャット/WeChat)」を利用して、中国当局が「チャット内容の監視」や通信記録を監視し、「中国当局に反対する人々の逮捕」や「言論統制」などを日常的に追い来ない、それらの逮捕や脅迫行動を正当化するようになっていると伝えています。
「微信(ウィーチャット/WeChat)」を利用して、中国当局が「チャット内容の監視」や通信記録を監視
微信(ウィーチャット/WeChat)とは
微信(ウィーチャット/WeChat)は、中国最大のメッセージングアプリで「2020年5月小程序互聯網発展研究報告」によると、微信(ウィーチャット/WeChatのMAU(月間アクティブユーザー数)は全世界で12億人に達したとされる巨大アプリです。日本でも三菱地所が2015年に中国サイバーマートグループと共同で中国人への丸の内情報提供サービスのトライアルを行うなど以前から利用されてきましたアプリであるため、日本国内でも多くの利用者がいると言われています。
中華製アプリを利用した中国当局の監視脅迫行動
米国内では約1900万人の利用者がいると言われている微信(ウィーチャット/WeChat)の配信ですが、米商務省が安全保障上の懸念を理由に、微信(ウィーチャット/WeChat)を米国内で事実上使用できなくなる処置を発表しました。その後、米国サンフランシスコの連邦地裁が、2020年9月20日までに、微信(ウィーチャット/WeChat)の配信を禁じるトランプ米政権の処置を一時的に差し止める判決を下すなど、微信(ウィーチャット/WeChat)をめぐる動きが慌ただしくなっています。
配信されるアプリが常に安全であるとは限らない。
先日、SolarWindsの管理系ソフトウエアに悪意のあるコード(バッグドア)が書き加えられ、米国の州政府機関や多くの企業のシステムがハックされ機密情報が窃取された可能性がある事件や米国メディアによる報道についてご紹介しました。SolarWinds製品更新ソフトウエアに埋め込まれたバックドアによる情報窃取事件を振り返ると、普段何気なく利用しているアップストアやGoogle Play ストアからダウンロードするアプリ、製品版の更新ソフトウエアにも悪意のあるコードが挿入される可能性があり、必ずしも安全であるとは限らないのだとこれまでの私達の常識と甘い認識を改める必要が出てきました。
リスクがあると報じられた中華製アプリの利用についてのルール整備
コロナ渦によってテレワーク・リモートワークが推奨される中、スマートフォンの利用する機会がコロナ以前よりも大きく増えたというビジネスユーザーも多いかと思います。もし、現在利用しているスマートフォンがプライベートとビジネスでシェアされているケース、また、ビジネス専用スマートフォンを利用しているがインストールできるアプリの制限がない自由な状態になっているとしたら、改めてインストールされているゲームも含むアプリとアプリの開発元や配布元を調査する必要があるでしょう。
WeChat以外にも、代表的な中華アプリとして、若年層を中心に絶大な人気を誇る「TikTok」、スマホゲームの「荒野行動」も中華アプリです。「TikTok」や「荒野行動」以外にも大量の中華製ゲームアプリや中華製のウィルス対策ソフトなども多く市場に出回っています。
中華アプリの取り扱いについては、肯定的な見方をする人々も多く議論が必要になるかと思います。企業の情報の安全性とセキュリティ対策を実施する立場においては、社内の中華製アプリの取り扱いや利用ルール、そして、個人所有のスマートフォン利用ルールなどを守るべきデータのレベルに合わせて改めて検討する段階になりました。
政府・与党の動き
2020年9月、自民党の議員連盟が中心となりTikTokなどの中華アプリの利用制限について話し合われました。その後、中華アプリによる個人情報漏洩を防ぐ為、自民党の「ルール形成戦略議員連盟」が、問題発生時には国家安全保障局(NSS)や内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)が立ち入り検査ができるよう環境整備を求める提言案をまとめています。
中華製アプリについて自民党内でも活発に動きがあることっから、今後、法整備が行われる可能性があるということを踏まえつつ、その動きを注視しておく必要があります。