FastAPIとは? 特徴、課題、そして使い方

今回は、近年、Web開発の世界で、Pythonを用いたAPI開発が急速に主流となりつつある中で、最も利用されている「FastAPI」についてのご紹介と解説です。
本記事では、企業の開発部門の皆様に向けて、FastAPIがなぜこれほどまでに注目を集めているのか、その特徴と課題、そして実践的な使い方について、技術的な知見を交えながら解説します。
1. FastAPIとは?
FastAPI(ファストエーピーアイと呼びます。)は、PythonでWebAPIを開発する為のフレームワークです。主な特徴としては、「 高速性」「データ検証の自動化やエディアの自動補完などの開発のしやすさ、開発速度の向上 」「APIドキュメントの自動生成」「直感的な設計 」などが挙げられます。
PythonでWeb API開発が主流となった理由
Pythonは、ご存じの通り、そのシンプルさと豊富なライブラリにより、データサイエンスや機械学習の分野で長らく第一線で利用されてきました。
Webアプリケーション、特にAPI開発の分野では、これまでといったら語弊がありますが、DjangoやFlaskといったフレームワークが広く使われきました。
そうした状況を一変させたのが、2018年に登場したFastAPIです。
FastAPIは、最新の非同期処理技術であるASGI(Asynchronous Server Gateway Interface)をベースに、Pythonの型ヒントを活用することで、開発効率とパフォーマンスを劇的に向上させました。これにより、PythonがWeb API開発においても主要な選択肢の一つとなったというのが、FastAPIがWebAPI愛初において主流となった理由です。
FastAPIの圧倒的な開発効率とパフォーマンス

FastAPIがWeb開発者に選ばれる最大の理由は、上記しましたが、その名が示す通り「速さ」「高速性」にあります。これは単に実行速度だけを指すものではありません。
圧倒的なパフォーマンス
FastAPIは、Starlette(Webサーバーフレームワーク)とPydantic(データ検証ライブラリ)という非常に高速なライブラリを基盤としています。
非同期処理にネイティブで対応しているため、複数のリクエストを効率的に並行処理することができ、高いスループットを要求されるAPI開発において、従来の同期的なフレームワークと比較して格段に優れたパフォーマンスを発揮します。
開発効率の向上
Pythonの型ヒントを利用することで、IDEの自動補完が強力になり、コードの記述ミスを大幅に削減できます。
さらに、Pydanticが自動でリクエストデータの検証やシリアライズを行ってくれるため、開発者は本質的なビジネスロジックの実装に集中できます。
Web API開発における主要なフレームワークとの比較
FastAPIの優位性をより明確にするために、従来の代表的なPythonフレームワークであるFlask、Djangoと比較してみましょう。
以下に示すのは、それぞれのフレームワークが持つ主な特徴です。
項目 | FastAPI | Flask | Django |
パフォーマンス | 非常に高速(ASGIベース) | 中程度(WSGIベース) | 低~中(WSGIベース) |
学習コスト | 中程度 | 低い | 高い |
非同期処理 | ネイティブで完全対応 | 限定的 | 非対応 |
APIドキュメント自動生成 | 標準機能で対応 | 対応なし(要外部ライブラリ) | 対応なし(要外部ライブラリ) |
用途 | 高性能API、マイクロサービス | 小規模API、プロトタイプ | 大規模Webアプリ、フルスタック |
上表からもわかるように、FastAPIはAPI開発に特化したフレームワークとして、パフォーマンスと開発効率の両面で他を圧倒しています。特に、APIドキュメントが自動生成される点は、クライアント開発者との連携を円滑にし、プロジェクト全体の生産性を向上させる上で非常に大きなメリットとなります。
このように、FastAPIは、現代のソフトウェア開発において求められる「高速な開発」「高いパフォーマンス」「メンテナンス性の向上」という三つの要件を高次元で満たすことで、PythonをWeb API開発の新たなスタンダードへと押し上げたのです。
2. Web開発にFastAPIを選ぶべき理由

企業の開発部門の皆様が新たなWeb API開発に着手される際、FastAPIは最も有力な選択肢の一つです。なぜなら、FastAPIは現代のWebサービスに不可欠な「高速性」と「堅牢性」、そして「開発者の生産性」を高いレベルで両立できるからです。
ここでは、その核となる技術要素について詳しく解説します。
非同期処理 (Async/Await) の真価
今日のWebサービスは、単一のリクエストに対して瞬時に応答するだけでなく、大量の同時接続や複雑なバックエンド処理を効率的に捌く能力が求められます。このような要求に応えるために不可欠なのが、非同期処理です。
ボトルネックを解消する非同期処理の仕組み
従来の同期処理モデルでは、データベースへの問い合わせや外部APIへのリクエストなど、I/O(Input/Output)処理が発生すると、その処理が完了するまでプログラム全体が待機してしまい、他のリクエストを処理できませんでした。これは、交通渋滞で一台の車が動けないと、後続の車も全て停止してしまうような状況に似ています。
一方、非同期処理は、I/O処理中にCPUがアイドル状態になる時間を有効活用し、その間に別のリクエスト処理を開始します。I/O処理が完了したら、元のリクエスト処理に戻るという仕組みです。これにより、プログラムはボトルネックで立ち止まることなく、複数の処理を並行して進めることができるため、システム全体のスループットが大幅に向上します。
FastAPIが非同期処理を簡単に実装できる理由
FastAPIは、Python 3.7以降で標準的に利用できるasync
およびawait
キーワードを全面的にサポートしています。これにより、開発者は複雑なスレッド管理やコールバック地獄に陥ることなく、非常に直感的に非同期処理を記述できます。
例えば、以下のようにasync def
で関数を定義し、I/O処理が必要な箇所でawait
を使用するだけで、その処理が非同期的に実行されます。
from fastapi import FastAPI
import asyncio
app = FastAPI()
@app.get("/items/{item_id}")
async def read_item(item_id: int):
# データベースからのデータ取得や外部API呼び出しなど、時間のかかるI/O処理を想定
await asyncio.sleep(2) # 2秒間の非同期待機をシミュレート
return {"item_id": item_id, "message": "Item fetched asynchronously"}
解説記事「FastAPとは? 特徴、課題、そして使い方」の続きは
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。